主食が腸炎のリスクを高めるとは、何とも悲劇的な事実が解りました。

今までも、炭水化物は体に良くない、血糖値が上がり老化が進みやすいこと、中性脂肪が上がりやすい、太りやすい、血糖値が上下しやすくてうつ状態を引き起こしやすいことは解っていました。

今回は、過敏性腸症候群IBSのリスクが上がりやすいことを示しています。

こうなると主食は悪者扱いだなと思います。

 

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今月の科学誌に、日本人において、主食の摂取と、過敏性腸症候群リスクとの関連を調べた研究が、東北大学のグループから報告されていました。(PLoS One. 2015 Mar 18;10(3):e0119097.) 過敏性腸症候群(IBS: Irritable Bowel Syndrome)とは、慢性的に下痢や便秘などの便通異常を生じる疾患です。 IBSでは腹痛や腹部不定愁訴を伴いますが、腸管に器質的な異常は見出されず、消化管の運動異常や知覚異常が認められます。QOLが低下するため、就業などに支障をきたすことがあります。 (なお、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患IBDでは、腸管に器質的な異常が認められます。) 今回の研究では、日本人において、主食の摂取と、過敏性腸症候群(IBS)リスクとの関連が検証されました。 研究の背景には、炭水化物が、小腸での吸収不全を介して、消化管症状を生じうる、 という考え方があり、炭水化物の多い食事、主食の多い食事では、IBSの症状が誘発されるという仮説が考えられます。 具体的には、横断研究として、2011年に、19歳から85歳の日本人成人1,082名(うち男性837名)を対象に、炭水化物の多い主食である、米、うどん、ラーメン、パン、パスタ、そばの摂取と、IBS罹患率との関連が調べられました。 主食の食事調査により、低摂取、中程度の摂取、高摂取群の3分位に分けられています。 多変量解析の結果、過敏性腸症候群(IBS)のリスクとの関連は、 米では、中程度の摂取群:36%リスク上昇、高摂取群:67%リスク上昇 (OR (CI): middle, 1.36 [0.93-1.99]; high, 1.67 [1.12-2.49]; P for trend = 0.01), パンでは、中程度の摂取群:88%リスク上昇、高摂取群:63%リスク上昇 (middle, 1.88 [1.28-2.75]; high, 1.63 [1.10-2.41]; P for trend = 0.01) パスタでは、中程度の摂取群:47%リスク上昇、高摂取群:68%リスク上昇 (middle, 1.47 [1.01-2.15]; high, 1.68 [1.12-2.52]; P for trend = 0.01) 蕎麦では、中程度の摂取群:76%リスク上昇、高摂取群:98%リスク上昇 (middle, 1.76 [1.18-2.61]; high, 1.98 [1.31-3.00]; P for trend = 0.001) という関連が見出されたということです。 さらに、各種の交絡因子で補正後において、炭水化物あるいは植物性タンパク質の摂取とは独立して 蕎麦の摂取とIBSとの有意な関連が認められています。 以上のデータから、米、パン、パスタ、蕎麦といった炭水化物の摂取と、IBSリスクとの関連が示唆されます。 最近の研究では、次の報告があります。 ペパーミントオイルによる過敏性腸症候群(IBS)改善作用 DHCでは、肥満・糖尿病・アンチエイジング・ヘルシーエイジング(健康長寿)のための食事として、 「‘ゆるやか’糖質制限」(緩やかな糖質制限食・低炭水化物食)を推奨しています。 最新の科学的根拠を俯瞰すると、 「緩やかな糖質制限食・低炭水化物食」を基本とした食生活が、 「ヘルシーエイジング(健康長寿)」 「ダイエット(適正体重の維持)」 「アンチエイジング(抗加齢)」に有用であると考えられます。