心と体がつながっていることはよく知られている。子供に関してはまだ心理的に不安定で価値観も確立されていないため、余計に症状が出るのだろう。現在のように、世界に一つだけの花とか、自分の好きに生きればいいとか、先生だからと言って正しくはない、などの従来の価値観をぶち壊す教育を受けた子供は価値観という自分基準を作ることができないまま成長してしまう。そのせいで社会とのずれを修正できず認知できないままに成長するので心身症になりやすいというのが私の考えだ。
小児心身症とは何か~不登校と身体症状 ~【見えない不調を抱える子どもたち】(時事通信) - Yahoo!ニュース
*******************************
◇子どもの心と身体は大人以上に密接につながっている
大人であれば、「仕事のストレスで胃の調子が悪い」「人間関係の悩みで頭が痛い」といった自己理解が可能です。しかし、子どもにはこのような抽象的な自己分析は困難です。友達との関係がうまくいかないとき、家族の雰囲気が重いとき、学校での発表が不安なとき…これらの心理的負担は、子どもにとって直接的に「おなかが痛い」「頭が痛い」という身体症状として現れるのです。
これは表現力の未熟さだけの問題ではありません。子どもの神経系、内分泌系、免疫系は発達途上にあり、心理的ストレスに対する身体の反応がより直接的で敏感なのです。大人のように心理的な問題を言語化して処理する前に、身体症状として現れてしまうことが自然な発達段階の特徴と言えます。
◇社会の"見えない圧力"が問題を複雑化させている
身体の不調は理解されやすいが、心の不調は「甘え」「気の持ちよう」として軽視されがち(イメージ)
現代社会では、身体の不調は理解されやすい一方で、心の不調は「甘え」「気の持ちよう」として軽視されがちです。この社会的傾向は、子どもたちにも大きな影響を与えています。「精神的に弱い」というレッテルを避けるため、無意識のうちに心の問題を身体症状として表現するようになることがあります。
また、現在の医療制度は「検査で確認できる異常」を重視する傾向があり、心理社会的要因による身体症状に対する理解や対応が十分ではありません。保護者も「精神的な問題」として扱われることへの抵抗感を持つことが多く、結果として適切な支援につながりにくい状況が生まれています。
このような状況において、子どもたちの訴える身体症状を単に「検査で異常なし」として片付けることは、根本的な解決にはならないのです。
次回は、子どもの心と身体の密接な関係についてお話しします。(了)
飯島慶郎医師
飯島慶郎(いいじま・よしろう) 精神科医・総合診療医・漢方医・臨床心理士。島根医科大学医学部医学科卒業後、同大学医学部附属病院第三内科、三重大学医学部付属病院総合診療科などを経て、2018年、不登校/こどもと大人の漢方・心療内科 出雲いいじまクリニックを開院。島根大学医学部附属病院にも勤務。
参考文献
[1] 文部科学省: 令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について, 2024.
[2] 文部科学省委託事業: 不登校の要因分析に関する調査研究 報告書. 公益社団法人子どもの発達科学研究所, 2024年.

