栄養補給を! 高齢者に増える「エネルギー、タンパク質欠乏」
産経新聞 7月6日(金)10時34分配信
がん治療でもっとも困るのは民間療法の粗食の勧めである。食べられない人にとっては心強くもありがたい「粗食信仰」であるが、間違いが沢山ある。
まずは、肉食の禁止である。何の根拠もなく肉食を禁じている。肉食は重要な蛋白源であり、鉄分などのミネラルも豊富に含まれている。
がんの患者さんはただでさえ抗がん剤などで造血細胞が障害を受けており、貧血である。その患者さんが「癌が治る奇跡の食事」みたいなものを読んで「粗食信仰」の信者になっているのは困ったものである。
野中一興
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加齢による食欲減退、歯が悪くて食べられないなどで、低栄養になる高齢者が増加している。中年期にメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が心配されるのとはまったく対照的な問題になっている。医師と相談しながらドリンクタイプの栄養調整食品などを家庭でもうまく活用し、栄養補給に注意することが重要だ。(財川典男)
低栄養は、エネルギーとタンパク質が欠乏し、健康な身体を維持し、活動する栄養素が不足した状態。肥満よりもやせ形の方が死亡リスクが高いという国立がんセンターなどの調査結果もあり、高齢者の低栄養は寝たきり状態や死に至ることもある。高齢者の場合は、半年で体重が2~3キロ減少したら低栄養を疑う必要があるという。血液検査で血清アルブミン値や血中コレステロール値などが低すぎるのは要注意だ。
東京都新宿区の国立国際医療研究センター病院リハビリテーション科医長の藤谷順子医師(49)は、「栄養を十分取ることが手術後の回復を早め、合併症を防ぎ、院内感染も予防できることが分かってきたため、病院ではNST活動が盛んになった」と話す。
NSTは「栄養サポート」のことで、医師、看護師、管理栄養士がチームで患者の栄養改善を総合的に指導する。栄養調整食品導入もそのひとつの例だ。
栄養調整食品は、低栄養時に栄養を補給するための飲料で、濃厚流動食品とも呼ばれる。タンパク質、脂質、糖質、食物繊維、各種ビタミンやミネラルがバランスよく含まれ、1ミリリットル当たり1~2キロカロリーと少量でも高カロリーだ。125ミリリットルの1パックで、おかゆ2杯弱に相当する200キロカロリーが摂取できる。病院や介護施設の給食で採用されている。
ただ、藤谷医師は、「入院前から低栄養の患者さんが非常に多い。普通に暮らしている高齢者が意外と低栄養になる」と指摘する。高齢の単身者や夫婦2人暮らしは、買い物に行くのも面倒になり、食事が、ごはんに漬物など粗食になりがち。粗食の方が健康に良いという「粗食信奉」も低栄養を招きやすい。
地域に根ざして栄養サポート活動を行っている地域栄養ケアPEACH厚木(神奈川県厚木市)の江頭文江代表(40)は、「高齢になるとかんだり飲み込んだりする機能が衰えて、タンパク質が摂取不足になることが多い」という。高齢者は、活動量が減るためおなかもすかない。調理には手間もかかるため、しっかりした食事を取らずについつい甘い物などだけでエネルギーを摂取することも起きがちだ。
江頭代表は、「食べやすくとろみをつけたり、軟らかい料理が作りやすいひき肉などを上手に活用したい。市販の栄養調整食品も毎日の食事に補助的に取り入れたい」という。
栄養調整食品「メイバランスMini」を製造販売している明治(東京都江東区)の栄養食品事業部開発グループの秋山亮氏(31)は、「病院では栄養量の半分をメイバランスで補うことが多い」と話す。家庭でも利用したいという声にこたえて、平成20年からネット通販に加えて、ドラッグストアで販売も開始。現在は全国約6000店に販路は拡大した。水分と栄養をともに摂取できるので熱中症予防にも役立ちそうだ。
他社の製品もテルモ(東京都渋谷区)の「テルミールミニ」や、三和化学研究所(名古屋市東区)の「リカバリーMini」などネット通販で入手可能。三和化学は「調剤薬局で取り寄せることもでき、問い合わせは増えている」そうだ。

