統合医療を何のために標榜しているのか?何が通常の医療と違うのか?

私が医師になったとき、医学生として勉強していた時に現代医療は何かが違っていると感じていた。それは対症療法ばかりをやたらと学ばされたことである。

 例えば糖尿病の患者さんに薬を投与する。インスリンが不足しているからインスリン製剤を投与する。そこまでは必要ないからGLP1受容体作動薬を投与する。さらにインスリン抵抗性の改善のためにビグアナイド剤、チアリジン薬を投与する。またはインスリン分泌促進のDPP4阻害薬を投与する、またはスルホニル尿素薬を投与するなどなど・・・・

なんとなく医学的に詳しくなったようで、高等な学問をしているような感じがする。多くの医学生はそう考えるし、医師も自分達が人体の血糖コントロールの真髄を見極めて高度な医学的な科学的治療をしていると思っているのだろう。

 しかし、私はこういった薬の使い方を学ぶうちに全く別の考えが浮かんできた。それはもっと単純に考えたらどうかと思ったのだ。

糖尿病は血糖値が上がる病気だ。原因は多くは食べすぎだ。カロリーをとりすぎてインスリンホルモンが実効的でなくなったために起こる病気なのだから、逆に食事量を減らして断食治療や低カロリー食を徹底する方法を追求するほうが理にかなっていないか?と考えたのである。

 それは医者のする仕事ではないと批判されたこともあるが人間のホルモンや血糖のコントロールのメカニズムを知っている医師だからこそ根本的な治療法を提案でき安全に実施できるのである。

 現代医学はやたらと薬を開発し、薬を販売する製薬企業の存在があるために根本を見失っているのだ。食事を改善し運動すれば糖尿病は治る。こんな簡単なことがわからなくなってしまっている。そして、お偉い先生方が「糖尿病治療ガイドライン」などという製薬メーカーのための販売ツールを作って全国の医師に薬の売り方を強制しているとしか私には思えない。キット偉い先生方には億単位の研究費と称する金でも渡っているのだろう。

原発問題とも似ている構造だ。

 もっと根本治療に力を入れることは出来ないのか?まさしくこれが日本の医療の大きな問題点であろう。薬をいくら飲んだところで糖尿病が完治はしない。完治するには食事と運動を徹底して適正化するしかないのだ。なのに、まるで製薬メーカーのために働くかのように医学会は動いている。根本的な治療を深めることよりも、新しい薬を開発してそれを販売促進することが医師の仕事であるかのように・・・。

医療において対処療法は根本療法に勝ることはない。

 同じような問題で、原発問題がある。原発は一時しのぎのエネルギーとわかっていてそれを推進する。大地震や津波に弱く、いちど事故を起こすと莫大な被害をもたらすにも関わらず、利権を得た官僚、経済界、政治家、御用学者が推進した。使用すみ核燃料の再利用などという妄想に近い言い訳のために「もんじゅ」に対して1兆円もの国税が浪費させられている。これもまた、ほんの一時期の対症療法的なエネルギー政策なのだ。使用すみ核燃料は猛毒のまま地中に埋めるしか方法がないのだ。地中に生めて地震で施設が破壊されたら後は野となれ山となれなのだ。そんな程度の科学で原子力を扱うのは野蛮人がコンピュータを分解修理するのと同じである。

根本的なエネルギー政策は自然エネルギーの無限活用である。しかし、これも利権を得ている電力会社と官僚、経済界の魑魅魍魎たちのために正しい情報は公開されない。

 私が考える統合医療は根本治療を追及するための医療だ。根本治療が出来ない場合でも副作用のない安全で効果的な方法を探し、今ある治療法と併用することだ。

 そして統合医療において大切なことは患者さんが自分自身で病気を治そうとすることである。根本的な治癒を目指すことである。それには以下のことを良く考えて欲しい。専門的なことだから医師にすべて任せていたいのはわかる。しかし、それではいけない。原発問題だってそうだ。福島の原発で被災した原発を誘致した町の被災者の殆どは政府の安全という言葉を何の疑問も持たずに居たのではないだろうか?原発が危険であると勉強して反対運動をしていた人たちが正しかったのだ。原発利権で町に補助金が下りるからといって賛成した人々が間違っていたのだ。

 医療もそれと近いものがある。お任せにしていたら根本治癒は出来ない。薬漬けの医療を平気で進める医師が居るのも本当だ。患者さんが自身で自分の自然治癒力を信じて直そうと考えることが重要である。

患者さんに持ってほしい考え方について

1、            対症療法だけに頼らずに根本治癒を目指すことが大切であることを知る。

2、            人間には自然治癒力があり、それを最大限に高めることで治る病気があることを知る。

3、            医師に頼るべきこともあるけれど自分の自己治癒力を信じること。

4、            免疫、自律神経は自然治癒力に関与しており、こころの持ち方で変わることを知る。

5、            過去は変えられないけれど未来は自分の力で変えられること。

①対症療法だけに頼らずに根本治癒を目指すことが大切であることを知る。

 ストレスを沢山受けて睡眠不足でタバコを吸って、食事にも気を使わない生活をしてきたガンの患者さんが居たとします。その患者さんのガンを手術で切除しても、生活習慣が変わらない限りまたガンは出てきます。またそのときに臓器を切り取って果たして根本治癒になるでしょうか?

 また、薬を対症療法的に使ってもそのときの症状を抑えるだけで本来の細胞が自然治癒するわけではありません。そんな対症療法だけをしていても根本治癒には至らない事を是非知ってほしいと思います。その根本治癒には患者さんの努力も欠かせません。まずは自分が自分の治療者であることを知ってほしいのです。

②人間には自然治癒力があり、それを最大限に高めることで治る病気があることを知る。

 糖分の取りすぎ、油のとりすぎで血液がドロドロになり血液中にストレスで活性酸素が激増している状況を思い浮かべてみてください。活性酸素は組織を傷つけ、ガンを生み出します。どろどろの血液中を免疫細胞は自由に移動することが出来ません。あちこちの組織が傷つき、障害を受け、結局その中でももっとも障害を受けた細胞がガンとなるのです。

逆に、がん細胞も体内環境が改善すれば正常細胞になるといわれています。それには活性酸素が発生しないように、於血や体内に蓄積した有害金属・有害物質を除去し、食事に気をつけることが大切です。そして自然治癒力が高まれば、免疫細胞が体内を自由にパトロールしがん細胞の微小なものまで貪食してくれればガンにはならないのです。

自律神経免疫療法は体内の血流を改善します。しかし、どろどろのままでは効果も半減です。やはり食事制限や適度な運動は必須だろうと思います。また、患者さんは病気は何でも医師任せではいけないのです。体は車の部品とは違います。交換したらおしまいではありません。なるだけ切除せずに自分の細胞を大事にしていかないといけないのです。

③医師に頼るべきこともあるけれど自分の自己治癒力を信じること。

       ↓

医師に頼るべきこともあるけれど、第一の治療者は自分自身である事を知る。

ガンやアトピーなどの難病になると多くの患者さんは病院任せ、医者任せになる人が多いと思います。しかし、ガンやアトピーのような難病は病院の治療で治るわけではありません。なぜならば、これらの難病も生活習慣病といわれる糖尿病や高血圧と同じように生活習慣から出てきた病気だからです。

④免疫、自律神経はこころの持ち方で変わることを知る。

 今までの自分が悪かったから病気になったんだと悩むことはありません。なぜなら、誰もそれを教えてくれなかったからです。患者さんの自然治癒力があることも、生活習慣を変えれば治る病気があることも、誰も教えてくれなかったのですから。

 こういった本当のことと教えてくれる人は多くありません。みんな対症療法でよいとなぜか考えているのです。人間の自然治癒力を高める方法にどうして興味がないのでしょうか?医師である私にもわかりません。ただ、現代医学は対症療法を発展させてきました。そして、ある一定の効果を上げてきたのです。そのために慢心があったのかも知れません。しかし、現実にはガンやアトピー性皮膚炎、リウマチなどの難病はこれを完全に治癒する方法もそのはっきりとした原因もまだわかっていません。

自律神経免疫療法の治療効果はいろいろな要素に影響されます。例えば、患者さんの食事内容、睡眠時間、生活習慣、ストレスなど。ですから太陽クリニックで治療を受けたらそれで良いのだと、好きなように体に悪い食事をしたり、睡眠時間を減らしたままでよいわけではありません。患者さんが自分で自分の治療をするという心構えが大切です。

生活習慣や食事を正常化するのはあくまで患者さんなのです。薬や医師の治療で治るわけでもありません。

5、   過去は変えられないけれど未来は自分の力で変えられること。

 まさにこれから変えてゆくことが大切であると知ることです。今まで、患者さんは押し着せの対症療法しか知らなかった。しかし、統合医療を知った今は根本治癒に向けて歩き始めることが出来るのです。アトピー性皮膚炎でもガンであっても自分で自分の体の状態を考え、より良い状態に近づける作業を統合医療の医師とともにやってゆくことが出来るのです。医者任せで黙って薬を飲んだり、注射をしたりして治る病気は限られています。あくまでも自分が自覚しつつ治療する意欲を持って欲しいと思います。