低用量ナルトレキソン 代替医療 がん治療

 5月から低用量ナルトレキソンを使用している。ナルトレキソンは脳に働き、免疫調整やホルモン調整、自律神経調整を行う薬である。
 免系調整を行うためにHIV感染者の免系力を高めたり、がん患者の治療に使われている。
この薬を知ったのは4月であった。
 研究会の会長の柳澤先生と数人の先生と集まっていたときのこと。
会長「ナルトレキソンって知ってるか?」
私「いえ、知りません。どんなくすりですか?」
会長「すごい薬らしいんだよ、この前のウイークス先生も言っていたが、かなり効果的なもので、今度調べてみたいと思っているんだ」
A先生「会長、今度4月の終わりにイギリスのグラスゴーで学会がありますよ」
会長「え~~!!本当か?どれどれ、資料は??いつなの?どこの大学で?」
A先生「このウエブサイトに載ってますよ。会長行ってきてくださいよ。」
会長「よーし、分かった。これか。」

会長はその場で飛行機とホテルを取り、学会に参加してきました。その行動の速さにぼくたちはビビッてしまったものです。

その後、実際に会長から説明を受けて薬の内容を知って驚きました。

がん患者450人、通常療法を出来ない患者(末期か?進行がんであろう)に対してなんと6ヶ月内服後には約60%の患者さんがガンの縮小、もしくは変化のない状態になっている。

これは通常の治療法ではありえない数字であり、かつこの療法には副作用といえるほどのものが殆どない。これもまた、驚きだった。
あるとしたら不眠、程度なのである。それもメラトニンを同時に摂取することでほぼ解消される。

実際に私自身使っているが、毎日服用して7日目に不眠の症状が出た。論文に載っていたナイトメアそのものだった。
通常の夢とは違い、非常に鮮明で不思議な感じがしたことを覚えている。
そして、面白いことに私自身の血液検査にも変化が現れた。
なんと、白血球が6000のうちリンパ球が3500にも上昇したのである。それまではせいぜいリンパ球は3000手前であったのが、20%以上も増加したのだ。

リンパ球の増加はほぼガン免疫の増強と考えてよいだろう。すると内服してたったの2週間で免疫の増強が起きたとも考えられる。
通常当院で診ているがん患者さんのリンパ球は非常に少ない。

抗がん剤治療中のかたは大体リンパ球は1000以下になっている。ひどいケースではリンパ球は300程度にまで落ちている。
新潟大学の安保先生によると癌免疫に必要なリンパ球の値は最低でも1500程度だから、300では抗がん剤を中止したと単に癌細胞が増殖を始めてしまう。
抗がん剤は免疫力を低下させるので注意が必要である。

当院ではがん患者さんにも多くの方に内服していただいているが、一例良好な結果が出つつある。
肺癌の進行がん、胸水が溜まり抗がん剤も出来ない状態の方がいる。
現在ビタミンC点滴を週に2回、毎回温熱療法と組み合わせている。食事療法にも積極的に取り組み砂糖は全く使わないで食事をしている。ナルトレキサンは40日程度内服している。
レントゲンでお見せできればいいが、徐々に胸水が減りつつある。体調は当然良好である。

統合医療のアプローチは医師としてもやりがいがある。なんといっても副作用がないことが嬉しい。患者さんは全く不眠症にもなってないという。おそらくβエンドルフィンの量がまだサージしていないのだろうと思われる。