グルコサミンが変形性膝関節症を予防する:PROOF研究

肥満女性に限っての研究だが実際の患者さんも肥満女性に特に多いのが特徴だ。

変形性膝関節症は多くの高齢肥満女性に多い疾患である。

グルコサミンが痛みに効くと言う研究はあったが、今回は予防効果である。つまり発生と信仰を予防する働きがあると言う結論だ。

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関節疾患研究の専門ジャーナル(電子版)に、肥満女性において、グルコサミンサプリメント投与による変形性膝関節症リスク低減(予防)効果を示した臨床研究が、欧州(オランダ・ベルギー・イタリア)のグループから報告されていました。 (Semin Arthritis Rheum. 2015 Nov 19.)

 

今回の研究では、グルコサミンサプリメントによる肥満女性での変形性膝関節症の予防効果が検証されました。 (PROOF研究の一環です。) (PRevention of knee Osteoarthritis in Overweight Females study) 具体的には、 BMI27以上の肥満女性407(50-60)を対象に、 (変形性膝関節症と診断されていない健常者の肥満女性が対象です)

(1) 対照群102(食事運動の指導はなく、偽薬投与) (2) テイラーメイドの食事と運動療法+偽薬投与群:101名、 (3) グルコサミン硫酸塩投与+食事運動非介入群:102 (4) グルコサミン硫酸塩投与+テイラーメイドの食事と運動療法実施群:102名 の4群について、2.5年間のフォローアップが行われました。 アウトカムとして、 膝関節の標準撮影が介入前後で測定されています。 (MTP view)

グルコサミン投与群は、 グルコサミン硫酸塩として1日あたり1500mg1回投与されました。 (偽薬との二重盲検試験です。) OA(変形性膝関節症)の発症は、関節間隙狭小化(≥1mm)にて判断されています。 解析の結果、 2.5年後に、 対照群では、11.8%の被験者が膝OAと診断されました。

グルコサミン投与の2つの群では、食事療法との併用の有無に関わらず、 膝OA発症率の低減(予防効果)が見出されています。 テイラーメイドの食事運動療法のみの群では、リスク低減効果は示されませんでした。

次に、 グルコサミンの投与群(204)と、非投与群(203)の比較では、 グルコサミン投与により膝OAの発症リスクが59%有意に低下していました。 (関節間隙による評価:OR = 0.41, 95% CI: 0.20-0.85, P = 0.02) なお、 テイラーメイドの食事と運動療法実施群203名と、非実施群204名の比較では有意さは認められていません。

以上のデータから、 中高年の肥満女性において、 グルコサミンサプリメント(硫酸塩1500mg/)2年半の投与により、 変形性膝関節症の新規発症リスク低減効果が示唆されます。 今回の研究では、mJSN関節間隙が指標となっており、客観性が担保されています。 また、食事と運動の介入群では、有意な予防効果は見出されておらず、減量の有用性が期待よりも大きくなかったと考えられます。 これまで、グルコサミンは有病者への介入による有効性を示したデータが多かったのですが、今回は、予防的な意義を示したことに意義があると考えます。