同じカロリーの食事をとってもその内容で体に与える影響は違ってくる
タンパク質、脂質、糖質の3つのうちどのバランスが健康に良好な影響を与えるかはわかってきている。
ではこのような、脂肪肝に対する影響はどの食事が最も影響するかだ。
結論は炭水化物=糖質の制限がよろしいということのようだ。これは糖質制限が肥満治療にも糖尿病治療にも有効であることからも当然考えられていたが、この研究もそれを後押しするものである。
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今月の科学誌に、高タンパク食と高炭水化物食の2種類の食事による、肝臓内の中性脂肪/トリグリセリドへの作用を比較した臨床研究が、オランダのグループ(Maastricht University)から報告されていました。
(PLoS One. 2014 Oct 16;9(10):e109617)

一般に、高タンパク食の投与は、
炭水化物摂取に由来する肝臓内の中性脂肪増加を抑制することが知られています。
中性脂肪/トリグリセリドは、糖質・炭水化物の過剰摂取により高値となり、脂質異常症を生じます。

過剰な中性脂肪は、肝臓に蓄積され、脂肪肝の原因となりますが高値となる原因として、脂肪・カロリーの摂り過ぎが考えられます。また余分な中性脂肪は肝臓に蓄積され、脂肪肝の原因にもなります。

さて、今回の研究では、非肥満の健常者において、高タンパク・低炭水化物食と、
高炭水化物・低タンパク食による肝臓内の中性脂肪量への作用が検証されました。

具体的には、男性7名、女性9名(平均年齢24±5歳、BMI 22.9±2.1)を対象に、
等カロリーの高タンパク・低炭水化物食 (タンパク質/炭水化物/脂質の比:30/35/35)と、
高炭水化物・低タンパク食(同:5/60/35)
が、それぞれの年齢や性別、BMIを充足する量にて、12週間、投与されました。

肝臓内の中性脂肪が、介入前後で、MRIで測定されています。
(1H-magnetic resonance spectroscopyによる測定)

解析の結果、高炭水化物・低タンパク食投与に比べて、高タンパク・低炭水化物食投与により、
肝臓内の中性脂肪量が12週間後に減少傾向を認めたということです。
(P = 0.055であり、僅かに有意差には達していません。)

以上のデータから、非肥満の健常者において、
脂肪肝のリスク低下に、高タンパク食・低炭水化物食の有用性が示唆されます。