乳がんの自然治癒した患者さんの話です。
乳がんのステージⅡ(乳がんの大きさが2cm未満か腋下リンパ節転移あり)の状態から完全に治癒しています。全くなくなってから2年以上が経っています。

左乳房の腫瘤をふれて大学病院を受診し、生理検査して診断されました。ご本人的には青天の霹靂というやつでずいぶんと驚きました。健康体でやってきていたのに急に乳がんと診断されてしまったからです。

まずは組織検査をしてみましたが悪性ではありませんでした、ホッとしましたがペット検査でFDGの集積が見つかったために抗がん剤投与を受けました。1回目は良かったのですが、2回目で激しい副作用に襲われ、髪の毛も抜け落ちてしまいました。そこで患者さんは勇気をもって抗がん剤を拒否しました。

当然拒否するわけですから主治医はいい気はしません。主治医としたら、この治療法が政府のお墨付きを得ていてデータもしっかりしているし、自分たちの治療法が最も正しいと信じているからです。
しかし、結果的に患者さんの乳がんは抗がん剤を止めました。その後ビタミンC点滴もやめてしまいましたが、その後癌は急激に大きくなり直径8cm位まで巨大化しました。その時にもっとも恐怖感にとらわれたそうです。その後も抗がん剤を拒否してビタミンC点滴もしませんでした。

患者さんが選んだのは自律神経免疫療法でした。刺絡という針治療をして6回目から癌は小さくなり始めました。その時には食事も気を使って玄米採食にしていたといいます。
順調に癌は小さくなり、2年前から全く触れない程度になっています。

大学の医師は嫌味を言ったそうです。
「食事療法をするといって抗がん剤を止めてからしばらくして、多くの患者が末期になって救急車でやってくる。あなたも救急車でくる前に来てくださいね」(ひどいですね)

患者さんのメンタルもこの間非常に変化したといいます。それまでは家族の間に不満があり、立腹することも多々あったそうですが、そんなことを気にしてストレスになっていてはいけないと思い、その相手の言動を無視と言っては言いすぎでしょうが、一切気にしない、受け付けないようにしたそうです。

思えばその家族間の意見の合わなさ、腹立ち、ストレスがこの癌を作ったと気が付いたからです。現在もあまり会話のない日々だそうですが、患者さん自身は明るく常に前向きに生活しています。つまり、ストレスになる言葉や言動を投げかけられても気にしない。相手にしない。そういった考え方に切り替えたそうです。

我々は常にストレスを感じています。ストレスこそが癌をはじめとして多くの病気の発症の引き金を引くのだと思います。

全く別の例ですが、胃がんの患者さんのケースも同様でした。その患者さんも家族間の揉め事があ腹の立つことを言われたりされたりしたそうです。その日々はかなりのストレスがかかる日々だったといいます。胃がんが発見されたのはその半年後くらいでした。スキルス癌という悪性度の高い胃がんで、一般には見つかった時には手遅れで多臓器転移していることも珍しくはありません。

幸い患者さんの胃がんは胃の中で発生したばかりでした。手術を受けて今は再発がないか5年が過ぎるのをじっと待っている状態です。この患者さんも考え方がずいぶんと変わりました。もともと死ぬことに対しては拒絶的な考えを持っており、死を話題することも避けるほど臆病な方でした。

しかし、発病して悪性度が高いと聞いてからは死を意識したといいます。どうせいつかは死ぬのだからもう悩んでも仕方がない。そして、それまでの家族のいざこざに対しても自分が善人になって対応すると決めたそうです。善人として、どう行動するべきか、不誠実な対応をされたときにどう答えるのか?そう考えると不思議に心が落ち着きました。腹を立てて怒りに任せて悪口雑言を口にしていた時にはさらに怒りが収まらなかったそうですが、今は何を言われても相手のいうことに腹を立てず、相手がする発言にはその理由がある、それがその相手の生まれ育ってきた環境の影響であるならば理解しよう、また自分がその環境の一部を作ってきたのならそれを許容しようと思っているそうです。

その方の胃がんも3年たちますが再発の気配すらありません。むしろいつも家族や周りに対しての感謝の気持ちを表現するようになってきました。

精神療法という意味では、自分の人生に責任をもって抗がん剤をするかどうかを決める(死ぬまで継続して抗がん剤治療するのが一番悪いと思います)、自分の人生を祝福する心が大切だと思います。

ほかにも自然治癒した患者さんがいますが、また別の機会に書きたいと思います。