大豆製品に抗がん効果があることは、様々な研究で分かってきている。ただし、乳がん、卵巣がん、子宮がんの治療として使えるかどうかはまだ分かっていない。これは女性器のがんがエストロゲンホルモン依存性を持つものがあるし、大豆製品には植物性のエストロゲン様作用があることも分かっているからである。

しかし、サプリメントとしてのイソフラボンには正常者に対して女性器のがんを発生することはないという調査もある。ただし、がん患者さんに対しては分かってないことから、患者さんに対する投与は控えたほうが良いだろう。

食道がん、前立腺がんのリスクも低下する研究もあることから、男女問わずがん予防には有用だと思われる。

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栄養学の専門ジャーナルに、大豆および大豆イソフラボンの摂取と、卵巣がんリスクとの関連を調べた研究が、豪州と中国のグループから報告されていました。(Nutr Res. 2014 Apr;34(4):302-7.) 大豆など植物性食品の一部には、女性ホルモン様作用を有するファイトケミカルの1種、イソフラボン類が豊富に含まれており、女性特有の病気に対する予防や改善作用などの機能性が知られています。また、抗酸化作用や抗炎症作用を介した機能性から、生活習慣病のリスク低下作用が注目されています。さて、今回の研究では、大豆および大豆イソフラボンの摂取と、卵巣がんリスクとの関連が調べられました。具体的には、中国南部の4つの公立病院において、症例対照研究として、病理組織学的に確定診断された卵巣がん患者群500名、対照群500名を対象に、(平均年齢59歳)大豆食品の摂取量が面接調査で調べられ、(大豆、豆乳、新鮮な豆腐、乾燥豆腐、もやし) イソフラボンの摂取量がUSDA(米国農務省)のデータベースを用いて推計されています。解析の結果、卵巣がん患者群では、対照群に比べて、大豆製品の摂取が有意に低いことが見出されました。卵巣がん患者:75.3±53.6 g/日、正常対照群:110.7±88.8 g/日回帰分析の結果、1日あたり120gの大豆を摂取する女性では、61gの摂取群と比べて、卵巣がんリスクが71%低下する、ということです。同様に、イソフラボンの摂取も、卵巣がんリスクと有意な負の相関が認められています。(P < 0.001) 以上のデータから、大豆製品の摂取による卵巣がんリスク低下作用が示唆されます。