霊芝によるがん転移抑制メカニズム 

レイシががん細胞の浸潤、転移を促す遺伝子を抑制するという報告です。食べ物が遺伝子に影響するというのは明らかになっていて、だから食事が大切だという話があるのです。

キノコ類や大豆製品ががんの抑制に働くことは有名で、がんの患者さんだけではなく予防のためにもこれらの食品を摂取することが推奨されます。

 

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腫瘍学の専門ジャーナルに、霊芝(レイシ、学名Ganoderma lucidum)によるがん転移抑制メカニズムを調べた基礎研究が、米国のグループ(Indiana University)から報告されていました。
(Int J Oncol. 2014 Jun;44(6):2009-15.)

がんの標準治療に対する補完としては、キノコ系のサプリメントがよく知られています。
コクランにも、霊芝のレビューが示されています。(霊芝(レイシ)のがん治療における臨床的意義
また、ウコン/クルクミンに関しては、標準治療に抵抗性の大腸がんやすい臓がんを対象に、
臨床試験第2相/第3相が行われています。

乳がん患者では、乳がんの転移が予後不良の主な原因となります。
そこで、今回の研究では、霊芝(レイシ、学名Ganoderma lucidum)による乳がんのがん細胞増殖および肺転移に対する作用が検証されました。

具体的には、ヒト乳がんモデル細胞(MDA-MB-231)をマウスに播種し、霊芝抽出物(100 mg/kg/隔日投与)が4週間、経口投与されました。
肺組織への乳がんの転移、および関連遺伝子の増減が測定されています。

解析の結果、乳がん腫瘍組織に対する増殖抑制効果は大きくなく、腫瘍サイズの抑制はわずかでした。
一方、乳がんから肺組織へのがん転移は、霊芝抽出物投与によって有意に抑制されたということです。
(がん転移数の有意な抑制)

このとき、霊芝抽出物投与によって、乳がん細胞(MDA-MB-231)における浸襲や転移に関与する遺伝子の発現抑制(HRAS, VIL2, S100A4, MCAM, I2PP2A and FN1)が認められました。

以上のデータから、霊芝による乳がんの肺転移抑制作用が示唆されます。
今後、臨床的意義の検証が期待される分野です。

がんにおけるCAM療法には、
・予防/リスク低減、
・治療
・標準治療の補完
・再発予防
といった意義がある一方、標準治療との相互作用も想定されるため、開示・申告が必要です。

キノコ類には、ベータグルカンなどの多糖類が含まれており、免疫調節作用を介した抗がん作用や生活習慣病予防作用などが示唆されています。
そこで、食用キノコや薬用キノコは、健康食品・サプリメントの成分としても用いられています。

例えば、アガリクス霊芝メシマコブ、マイタケなどです。
これらのキノコ類に関する研究として、まず、多くの基礎研究で抗がん作用や免疫調節作用が知られています。臨床研究では、QOL改善作用を示した報告などがあります。(がんの補完療法としてのRCTを組むのは容易ではありません。)