大豆イソフラボンの効果もいろいろながんのリスク低下に役立つようだ。特に乳がん、前立腺がん、肺がんに関しては論文が多い。一方、乳がんや子宮がんなど女性ホルモン、エストロゲン依存性のものに対してはがん予防効果はあるが、がんになってしまった後にはがん増殖作用もあるといわれている。さまざまな研究発表があるが、最近では日本人が日常生活で摂取する程度の豆腐や納豆の量ならば、乳がん患者でも予後に良い影響を与え再再発予防、生存率の低下をもたらすことが分かっている。

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アジア人女性において、大豆イソフラボンの摂取による乳がんリスク低下作用を示したメタ解析が報告されていました。(PLoS One. 2014 Feb 20;9(2):e89288.)

大豆製品には、女性ホルモン様作用を有するファイトケミカルの1種、イソフラボン類が豊富に含まれており、女性特有の病気に対する予防や改善作用などの機能性が知られています。
これまでの研究では、大豆の摂取による乳がんリスクの低下、大豆由来のイソフラボンなど植物性エストロゲンによる心血管疾患リスク低下や血糖コントロール作用改善が示唆されています。

さて、今回の研究では、大豆イソフラボン摂取と、乳がんリスクとの関連について、閉経前後時の女性など層別のメタ解析による検証が行われました。

具体的には、35報の研究を対象に、閉経前と閉経後の各群について、乳がんリスクへの影響が調べられました。

解析の結果、まず、大豆イソフラボンの摂取は、閉経前の女性でも、閉経後の女性でも、乳がんリスク低下効果が見出されました。地域別の解析では、大豆イソフラボンによる閉経前および閉経後の女性の乳がん予防効果(リスク低下効果)は、アジア諸国で認められています。

閉経前の女性では41%のリスク低下、(OR = 0.59, 95%CI: 0.48-0.69)
閉経後の女性でも41%のリスク低下でした。(OR = 0.59, 95%CI: 0.44-0.74)

また、西洋諸国では、閉経後の女性において、8%のリスク低下作用が見出されました。
以上のデータから、アジア諸国のデータでは、大豆イソフラボン摂取による乳がんリスク低下効果が、
閉経前および閉経後の女性において期待できると考えられます。

先行研究による人種別のデータおよび基礎研究を見ると、青少年期における大豆摂取が、中高年以降の乳がんリスク低下効果を示す、という複数のデータがあります。
また、乳がんサバイバーに対する再発予防効果として、乳がん術後の大豆製品の摂取が有用である、
というデータも示されています。

次のような研究報告も知られています。
大豆の摂取が多いと乳がんリスクが低下@日本人女性
大豆食品による乳がんサバイバーの予後改善
乳がんサバイバーと大豆食品の摂取
イソフラボンと心血管リスク低下
大豆イソフラボンによる高血圧の改善作用
イソフラボンは血液凝固系に影響を与えない 
大豆イソフラボンによるQOL改善と抗うつ作用@閉経後女性
大豆イソフラボンによる前立腺がんリスク低下作用 
イソフラボンサプリメントによる更年期障害・ほてり改善効果

大豆イソフラボンによる乳がんリスク低減作用@日本人
大豆による肺がんリスク低下作用@女性
イソフラボンの摂取が多いと脳卒中の再発率が低い