ビタミンDと死亡率の話は以前から沢山あるが、今回は新しい話である。

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今月の内分泌学の専門ジャーナル(電子版)に、血中ビタミンD値と、死亡率との関連を調べた研究が、スウェーデンのグループ(Linköping University)から報告されていました。(Eur J Endocrinol. 2014 Feb 11.)

ビタミンDは、骨の健康維持に関係する脂溶性ビタミンとして広く知られています。
近年の研究では、免疫調節作用や抗がん作用も見出されており、アンチエイジング分野ではベーシックサプリメントとして摂取が推奨されるようになりました。

高緯度地域の高齢者施設の入所者では、ビタミンD欠乏症のリスクが高まると考えられます。
ビタミンD低下によって、骨折リスクや筋力低下が生じると、転倒などにより介護が必要な状態になりえます。
また、免疫調節作用や抗がん作用の低下による疾患リスク上昇が、死亡率を高めることも考えられます。

そこで、今回の研究では、北部高緯度地域で、施設に入居している高齢者において、ビタミンD低下と、死亡率との関連が検証されました。具体的には、前向きコホート研究として、11のナーシングホームの65歳以上の高齢者333名を対象に、3年間のフォローアップが行われ、血中ビタミンD値(25(OH)D3)と、死亡率が調べられています。

高齢者333名を3年間(平均観察期間)フォローアップした結果、147名(44%)の死亡例が確認されました。
血中ビタミンD値の4分位と死亡率との関連を解析したところ、最高群(25(OH)D3 >48 nmol/L)に比べて、
最低群(25(OH)D3 <29 nmol/L)では、死亡率が2.02倍と有意に増大していました。(p<0.05)

また、2番目に低い群(25(OH)D3 30-37 nmol/L)では、最高群に比べて、死亡率が2.03倍と高値(p<0.05)でした。
3番目の群(25(OH)D3 38-47 nmol/L)では1.6倍でした。(p<0.05)

血中ビタミンD値の平均は、40.2 nmol/Lであり、80%の被験者は、50 nmol/L未満でした。また、フォローアップ中の時間経過とともに、血中ビタミンD値は低下しました。

以上のデータから、ナーシングホームに入所している高齢者では、ビタミンDが低値であると、死亡率が有意に高くなることが示唆されます。
今後、ビタミンD3サプリメント投与試験などの介入による臨床的意義の検証が期待されます。

近年、ビタミンDの機能性として、免疫調節作用や抗がん作用、インフルエンザ予防作用なども見出されてきました。
日本からの報告では、ビタミンDサプリメントのインフルエンザ予防効果が知られています。

また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000~2,000
IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)

今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。
日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。

たとえば、
日本人妊婦の90%がビタミンD不足

血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低いというデータがあります。

DHCでは、ビタミンD3サプリメントを製品化しています。
ビタミンDサプリメントに対する効果には個人差がありますが、
臨床的には、ビタミンDサプリメントを1,000IU/日の用量で投与すると、血中25ヒドロキシビタミンD値が10ng/ml増加する、という報告もあります。
マルチビタミンのビタミンDはRDAのための設定ですので、別途、ビタミンDサプリメントの利用となります。