今までにも大豆の摂取が乳がんリスクを減少する研究があったが、今回は疫学研究である。

結論としては大豆イソフラボンには乳がんリスクを低下する働きがある、ということである。

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今月の臨床腫瘍学の専門ジャーナル(電子版)に、大豆の摂取と乳がんリスクとの関連を検証した疫学研究のレビューが、岐阜大学のグループから報告されていました。(Jpn J Clin Oncol. 2014 Jan 22.)

大豆製品には、女性ホルモン様作用を有するファイトケミカルの1種、イソフラボン類が豊富に含まれており、女性特有の病気に対する予防や改善作用などの機能性が知られています。
これまでの研究では、大豆の摂取による乳がんリスクの低下、大豆由来のイソフラボンなど植物性エストロゲンによる心血管疾患リスク低下や血糖コントロール作用改善が示唆されています。

さて、今回の研究では、日本人女性において、大豆の摂取と乳がんリスクとの関連を調べた疫学研究を対象に、レビューが行われました。
具体的には、医学データベース(MEDLINEと医中誌)からコホート研究5報、症例対照研究6報の研究が抽出されました。

コホート研究のうちの2報では、閉経後の女性において、大豆の総摂取量(大豆製品あるいは大豆イソフラボン)と、乳がんリスクの低下との間に有意な相関が認められています。
(中程度の相関と、強い相関の2つ。)

症例対照研究のうちの2報では、大豆の総摂取量と、乳がんリスクとの間に弱い負の相関が示唆されました。(2報のうち、1報は閉経前の女性と閉経後の女性の全体、残りの1報は閉経後の女性)

個別の大豆製品に関する解析では有意な相関は検出できていません。
なお、大豆イソフラボンによる乳がんリスク低下作用が示唆されています。
以上のデータから、論文著者らは、
日本人女性における大豆の摂取による乳がんリスク低下作用を考察しています。