マルチビタミンミネラルの効能は多岐にわたっている。

ガンリスクの低下やHIV感染後の免疫脳低下の抑制効果があるのである

**************************

http://www.dhcblog.com/kamohara/

今月の米国医師会ジャーナルに、HIV感染初期におけるマルチビタミンおよびセレンのサプリメント投与による免疫機能低下抑制作用を示した臨床研究が、米国のグループ(Florida International University)から報告されていました。(JAMA. 2013 Nov 27;310(20):2154-63)

HIV感染初期において、微量栄養素(ビタミンやミネラル)の低下が生じることから、

マルチビタミン・ミネラルサプリメント投与の有用性が推測されます。

そこで、今回の研究では、
ART療法未治療の成人HIV感染者におけるマルチビタミン・ミネラルサプリメントによる微量栄養素投与の意義が検証されました。

具体的には、ランダム化比較試験として、
HIV(サブタイプC)感染初期(CD4細胞数が350/μL以上)の成人で、ART治療開始前(未治療)の患者878名を対象に、マルチビタミン(ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE)投与群、セレン投与群、マルチビタミン+セレン投与群偽薬群について24ヶ月の介入が行われました。
本試験は、2004年12月~2009年7月の間にボツワナにて実施され、
CD4数が200/μL未満(2008年5月までに)、
CD4数が250/μL未満(2008年5月以降)
で標準治療のART開始となる割合が解析されています。

ITT解析の結果、偽薬群に比べて、マルチビタミン+セレン投与群では、
CD4数が250/μL未満となるリスクは54%低下していました。

また、マルチビタミン+セレンサプリメントの投与は、
AIDS発症あるいはAIDS関連死といったリスクも44%低下させています。

なお、HIVウイルス量に対してサプリメントの影響はみられていません。
以上のデータから、HIV感染初期でART治療開始前の成人患者において、
マルチビタミン+ミネラル(セレン)サプリメントの投与は、感染初期の免疫機能低下を抑制することが示唆されます。

マルチビタミンやマルチミネラルサプリメントの補完療法としての臨床的意義が示唆されます。
(いうまでもなく、HIV感染に対しては、まず予防ありきです。次に、早期発見のための検査、標準治療の適応などが考えられます。)

一般に、マルチビタミンやマルチミネラルのサプリメントは、食事で不足しがちな必須栄養素を補う目的で用いられます。
したがって、よほど栄養状態に問題がある地域の対象者でないと、マルチビタミンで、がん予防や死亡率低下、という結果にはなりません。
(日本人の場合、現代の食生活では潜在的な栄養素の不足という問題は想定されますが、マルチビタミンの投与で死亡率低下というデータまでは検出できないと思います。)

(なお、マルチビタミン・ミネラルサプリメントによる抗がん作用や死亡率低下のメカニズムとしては、ビタミンCやビタミンE、セレンといった抗酸化作用を持つ成分が、酸化障害の抑制を介して、抗がん作用および生活習慣病予防効果を示す、となります。)

マルチビタミンサプリメントとがんに関して、最近では、
50歳以上の米国の男性医師14,641名を対象にした研究で、
マルチビタミンによるがんリスク低減効果というデータが報告されています。

また、マルチビタミン・ミネラルと死亡率の関係:メタ解析という報告もあります。

なお、健康増進及び疾病予防には、適切な食習慣や運動習慣が基本であり、サプリメント・健康食品がそれらに置き換わるわけではありません。
医療専門誌によるマルチビタミン摂取の推奨論文としては、次の2つがよく知られています。
(1)NEJM誌(1998)の論説

「Eat Right and Take a Multivitamin」
『適切な食事を摂り、マルチビタミンも利用しましょう』
(神経管欠損症予防、動脈硬化性疾患予防の意義)
(Oakely GP. NEJM. 1998 Editorial )

(2)JAMA誌(2002)の総説
「Vitamins for chronic disease prevention in adults」
『成人は、毎日、マルチビタミンサプリメントを摂取するべき』
(先進国では欠乏症は稀であるが、至適濃度を下回ることのリスクがある。)
(Fletcher.et al. JAMA. 2002 )

DHCでは、適正な価格で高品質のマルチビタミンマルチミネラルカルシウム・マグネシウムを提供しています。
また、各種カロテノイドを含むマルチカロチンの他、リコピンルテインなども製品化しています。