膝関節の痛みに対してはサプリメントは有効である。しかし、軟骨再生の確かな証拠は見つかっていない。

それを理解してサプリメントを使う場合には良いものである。

薬が来たいな患者さんたちにはお勧めしたい。

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http://www.dhcblog.com/kamohara/

さて、栄養学の専門ジャーナルに、関節痛に対する複合サプリメントの効果を示した臨床研究が、米国のグループから報告されていました。(Nutr J. 2013 Nov 25;12(1):154)

今回の研究では、機能性食品素材を含むサプリメントを用いて、
関節痛に対する作用が調べられました。

具体的には、ランダム化二重盲検偽薬対照試験として、
膝や腰、足首、肩などの関節に3か月以上の自覚的な痛みを訴える成人男女100名(50-75歳)を対象に、
複合サプリメント(1日あたりの投与量:グルコサミン硫酸塩 1500mg、MSM 500mg、セイヨウシロヤナギ(15%サリシン)250mg、ショウガ根抽出物50mg、ボスウェリア・セラータ抽出物(65%ボスウェリア酸)125mg、ウコン50mg、カイエン(唐辛子)50mg、ヒアルロン酸4.0mg)
あるいは偽薬が8週間投与されています。

(被験者は、関節痛に対する医薬品(NSAIDsやその他の医薬品)を服用していません。)

主アウトカムとして、投与前後での関節痛(重症度、こわばり、関節機能など)がWOMACスコアで評価されました。
副アウトカムとして、QOL(SF-36)、炎症マーカー(血中CRP、サイトカイン類)などが測定されました。

解析の結果、 偽薬群に比べて、サプリメント投与群では、関節痛の重症度が有意に改善しました。
(8-week WOMAC, [downwards arrow]37% versus [downwards arrow]16%, interaction effect P = 0.025)

また、日常活動度や関節のこわばりスコアも、偽薬群に比べて、サプリメント投与群では74%の被験者が有意な改善を示しました。
(8-week WOMAC機能スコア, [downwards arrow]39% versus [downwards arrow]14%, interaction effect P = 0.027; こわばりスコア, [downwards arrow]30% versus [downwards arrow]12%, interaction effect P = 0.081)

なお、SF-36、CRP、サイトカイン類の値では両群間に有意差は認められませんでした。
以上のデータから、中高年から高齢成人の関節痛に対する複合サプリメントによる疼痛軽減効果が示唆されます。

DHCでは、関節機能訴求に関連したサプリメントとして、次の製品を扱っています。
らくらく(グルコサミン、コンドロイチン、II型コラーゲン、CBP、MSM(メチルスルフォニルメタン)、コラーゲンペプチド、ヒドロキシチロソール)
グルコサミン
コンドロイチン
グルコサミン&コンドロイチン
II型コラーゲン+プロテオグリカン
グルコサミンは、変形性膝関節症などの関節疾患に広く利用されているサプリメントです。
作用メカニズムとして、アミノ糖であるグルコサミンが関節軟骨の成分であることから、構成成分を経口摂取することによる直接的な修復機構が想定されていました。

一方、最近の研究では、グルコサミンやコンドロイチンは、情報伝達機構における調節因子であることが示されており、変形性膝関節症に対する改善効果のメカニズムとして、構成成分自体を直接摂取する作用というよりは、シグナル伝達物質を摂取することによる作用が考えられています。

膝OAなどの変形性関節症に対して、
サプリメントでは、グルコサミンやコンドロイチンが最もエビデンスが豊富であり、欧州の学術団体EULARではグレードAの推奨になっています。
(一方、ACRではGAIT1のみを解析対象としたため、偽陰性データのバイアスによってネガティブになっています。)