決して入るな「がん保険」がん治療費はせいぜい50万円 | Smart FLASH/スマフラ[光文社週刊誌] (smart-flash.jp)
15年間、保険の営業マンとして働き、内部事情を知り尽くした後田亨氏は、「保険は1万円を入れられたら3000円の手数料が引かれるATMのようなもの」と断言する。
「2人に1人は、がんになる時代です」と言われ、がん保険に入った人も多いだろう。だが、がん治療にかかる医療費をご存じだろうか。
「がんは医療費でいうと、多くの場合、50万円ぐらいですむのです。そもそも保険は、お金を用意する『手段』。自分で用意できない場合だけ、保険に入ればいいんです。
たとえば自動車保険。車の事故で人を死に至らしめたら、数億円の賠償が必要かもしれないから、高い手数料を払っても保険に加入する。これは正しい判断です。
でも、がん保険の場合、がんの医療費が50万円ですむなら、出せる人はたくさんいると思う。だったら高い手数料を払ってまで保険に入る必要があるのか。
しかしそこで、正しい判断ができなくなる。不安のあるなしではなく、金額の大きさで決めるべきです」(後田氏、以下同)
がん保険のCMでよく耳にするのが「先進医療は数百万円かかる」というフレーズ。健康保険でカバーできないような自費診療を受けることに、意味はあるのか?
「そもそも『先進医療』というネーミングが間違っていて、じつは実効性が証明されていない医療が『先進医療』なんです。健康保険の対象の『標準医療』は数百万円もかかりません。実証データが不足している治療法を試したい人はどうぞ、ということです」
「さらに健康保険なら、『高額療養費制度』のほかに、病気や怪我で仕事に就けない人のため、欠勤4日めから最長1年半まで標準報酬日額の3分の2を支払う、『傷病手当金』もあります(冒頭の表を参照)。それでもがん保険が必要か、よく考えてください」
うしろだとおる
1959年生まれ。日本生命で10年間営業職を務た後、複数の保険を扱う代理店に転職。その後、独立。著書に『「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由』ほか
(週刊FLASH 2019年2月12日号)