ビタミンD3はサプリメントの中でもビタミンCについでマルチな力を発揮するビタミンである。高齢者の筋断面積の増加が見られるのだから相当の効果だと思われる。

 

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今月の臨床内分泌代謝学の専門ジャーナル(電子版)に、ビタミンD3サプリメントによる筋肉組織への影響を調べた臨床研究が、米国のグループ(Tufts Medical Center)から報告されていました。
(J Clin Endocrinol Metab. 2013 Oct 9.)

ビタミンDは、骨の健康維持に関係する脂溶性ビタミンとして広く知られています。
近年の研究では、免疫調節作用や抗がん作用も見出されており、アンチエイジング分野ではベーシックサプリメントとして摂取が推奨されるようになりました。

また、ビタミンDは、骨の健康維持に加えて、筋肉組織への作用も示唆されており、転倒予防、骨折予防の点から、ロコモティブ症候群対策のサプリメントでもあります。
ただし、現時点では、ビタミンDサプリメント投与による筋肉量の増加や筋特異的なビタミンD受容体の増加といった作用には議論があります。

そこで、今回の研究では、ビタミンD3サプリメントによる骨格筋への作用が検証されました。
具体的には、4か月間のランダム化二重盲検偽薬対照試験として、65歳以上で運動能が障害された女性21名を対象に、1日あたり4000 IUのビタミンD3投与による、
筋線維横断面積(FCSA, muscle fiber cross-sectional area)および筋肉内のビタミンD受容体濃度への影響が調べられました。
(被験者の25OHD値は22.5-60 nmol/L)

主アウトカムは、4か月後のFCSAと筋肉中VDRです。(外側広筋にて測定されています。筋繊維タイプはI/IIa/IIx)

解析の結果、まず、投与開始時のデータは、
平均年齢78±5歳、
BMI 27±5 kg/m2、
25OHD; 46.3±9.5 nmol/L、
身体パフォーマンススコア;(全12スコア中の)7.95±1.57
でした。

次に、4か月後のデータは、
25OHD値は偽薬群の52.5±17.1に対して、
サプリメント投与群では 80.0±11.5 nmol/L (VD; P<0.01) であり、
25OHD値の変化は、筋肉中のVDRと有意に相関していました。
(r=0.87, P<0.001)

ビタミンD3サプリメント投与による筋肉中のVDRの変化は、29.7±11.7%であり、
偽薬群では7.8±18.2%でした。
FCSAは、偽薬群では-7.4±18.9%に対して、ビタミンD3投与群では10.6±20.0%でした。

以上のデータから、運動身体機能に障害のある高齢者において、
ビタミンD3サプリメントの投与は、骨格筋におけるビタミンD受容体を30%増加させ、
骨格筋繊維のサイズを10%大きくすることが示唆されます。

今後、高齢者における転倒予防やロコモティブ症候群予防の見地から、ビタミンD3サプリメント投与の臨床的意義の検証が期待されます。

近年、ビタミンDの機能性として、免疫調節作用や抗がん作用、インフルエンザ予防作用なども見出されてきました。

日本からの報告では、ビタミンDサプリメントのインフルエンザ予防効果
が知られています。

また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000~2,000IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)

今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。
日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。

たとえば、
日本人妊婦の90%がビタミンD不足
血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低い
というデータがあります。

DHCでは、ビタミンD3サプリメントを製品化しています。
ビタミンDサプリメントに対する効果には個人差がありますが、
臨床的には、ビタミンDサプリメントを1,000IU/日の用量で投与すると、血中25ヒドロキシビタミンD値が10ng/ml増加する、という報告もあります。

マルチビタミンのビタミンDはRDAのための設定ですので、別途、ビタミンDサプリメントの利用となります。