マルチビタミンミネラルはもっとも知れ渡っており多くの人にもなじみが深いサプリメントではないだろうか。

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今月の乳がん研究の専門ジャーナル(電子版)は、マルチビタミン・ミネラルサプリメントの利用と、乳がんによる死亡率との関連を調べた研究が、米国のグループ(Albert Einstein College of Medicine)から報告されていました。
(Breast Cancer Res Treat. 2013 Oct 9.)

マルチビタミンサプリメントは、米国では広く利用されています。
例えば、米国の男性医師を対象にした研究では、マルチビタミンサプリメントの利用と、全がんリスク低下との関連が見出されました。(2012年、JAMA)

さて、今回の研究では、浸潤性乳がんと診断された女性において、マルチビタミンとマルチミネラルサプリメントの利用と、乳がんによる死亡率との関連が調べられました。

具体的には、米国の40カ所の医療機関において乳がんと診断された50歳から79歳の女性7,728名を対象に、(乳がん診断後の)7.1年間のフォローアップが行われました。
(WHI研究の一環です。)

マルチビタミンミネラルサプリメントの利用者と非利用者との間で、乳がんによる死亡率が比較されました。
まず、試験登録時には、
被験者の37.8 %がマルチビタミンミネラルサプリメントを利用していました。
平均観察期間7.1 ± 4.1年の間に、乳がんによる死亡は518例(6.7 %)に認められました。
解析の結果、マルチビタミンミネラルサプリメント利用者は、非利用者に比べて、
乳がんによる死亡率が30%低かったということです。(HR = 0.70; 95 % CI 0.55, 0.91)

各種の交絡因子で補正後、マルチビタミンミネラルサプリメント利用者群では、非利用者群に比べて、
24%のリスク低下が見出されました。(HR = 0.76; 95 % CI 0.60-0.96)

以上のデータから、閉経後の浸潤性乳がん患者では、マルチビタミンミネラルサプリメント利用者における乳がん死亡率の有意な低下が示唆されます。

今後、因果関係の検証や作用メカニズムの解明などが期待されます。
一般に、マルチビタミンやマルチミネラルのサプリメントは、食事で不足しがちな必須栄養素を補う目的で用いられます。

したがって、よほど栄養状態に問題がある地域の対象者でないと、マルチビタミンで、がん予防や死亡率低下、という結果にはなりません。
(日本人の場合、現代の食生活では潜在的な栄養素の不足という問題は想定されますが、マルチビタミンの投与で死亡率低下というデータまでは検出できないと思います。)

(なお、マルチビタミン・ミネラルサプリメントによる抗がん作用や死亡率低下のメカニズムとしては、ビタミンCやビタミンE、セレンといった抗酸化作用を持つ成分が、酸化障害の抑制を介して、抗がん作用および生活習慣病予防効果を示す、となります。)

マルチビタミンサプリメントとがんに関して、
最近では、50歳以上の米国の男性医師14,641名を対象にした研究で、
マルチビタミンによるがんリスク低減効果
というデータが報告されています。

また、マルチビタミン・ミネラルと死亡率の関係:メタ解析
という報告もあります。

なお、健康増進及び疾病予防には、適切な食習慣や運動習慣が基本であり、サプリメント・健康食品がそれらに置き換わるわけではありません。

医療専門誌によるマルチビタミン摂取の推奨論文としては、次の2つがよく知られています。
(1)NEJM誌(1998)の論説
「Eat Right and Take a Multivitamin」
『適切な食事を摂り、マルチビタミンも利用しましょう』
(神経管欠損症予防、動脈硬化性疾患予防の意義)
(Oakely GP. NEJM. 1998 Editorial )

(2)JAMA誌(2002)の総説
「Vitamins for chronic disease prevention in adults」
『成人は、毎日、マルチビタミンサプリメントを摂取するべき』
(先進国では欠乏症は稀であるが、至適濃度を下回ることのリスクがある。)
(Fletcher.et al. JAMA. 2002 )

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