抗がん剤との併用が問題となるサプリメントはいくつかある。

このセントジョーンズワートもその一つだが、ビタミンCもメソトレキセートとの併用は禁忌といえる。サプリメントが」無害というわけではなく、何かしら体に影響する薬剤もサプリメントもそれぞれ作用機序があり、その作用が拮抗する場合には併用しないことだ。

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臨床薬理学の専門ジャーナル(電子版)に、セントジョーンズワートとドセタキセル(抗がん剤)との相互作用を示した臨床研究が、オランダのグループ(Utrecht University)から報告されていました。
(Clin Pharmacokinet. 2013 Sep 26)

セントジョーンズワート(和名セイヨウオトギリソウ)は、軽症から中等度のうつ病に対して有効なハーブです。SSRIなどの医薬品と同等の効果を有し、かつ、副作用は医薬品よりも少ないことが知られています。
セントジョーンズワートは、単独の投与では、安全性と有効性の確立されたハーブです。

一方、医薬品との相互作用がありますので、医薬品(CYP3A4で代謝される医薬品)との併用投与は避ける必要があります
ドセタキセル(docetaxel、タキソテール)は、タキサン系の抗がん剤で、転移・再発乳がん、卵巣がん、非小細胞肺がんの治療に用いられます。

今回の研究では、セントジョーンズワートとドセタキセルの相互作用に関する検証が行われました。
(セントジョーンズワートとドセタキセルは、いずれも肝臓の薬剤代謝酵素であるチトクロームCYPの3A4の基質であることから、併用時に相互作用が推測されます。)

具体的には、がん患者10名を対象に、セントジョーンズワート(900mg、分3)を14日間摂取させ、その前後で、ドセタキセル(135mgを60分で点滴静注)投与を行い、薬物動態が測定されています。

解析の結果、セントジョーンズワート(SJW)の投与によって、ドセタキセルの血中濃度(AUC)は有意に低下しました。

(AUC∞ SJW投与前3,035 ± 756、SJW投与後2,682 ± 717 ng • h/mL、P = 0.045)

また、ドセタキセルのクリアランスは、SJW投与後に有意に増加しました。
(47.2 to 53.7 L/h, P = 0.045)

その他、ドセタキセルの最大血中濃度と、血中半減期は、SJW投与後に低下傾向を示しました(有意差なし)。

なお、ドセタキセル投与時に生じる副作用・毒性は、SJW投与後に減少したということです。
以上のデータから、セントジョーンズワートは、CYP3A4活性誘導を介して、ドセタキセルの薬効を低下させると考えられます。

したがって、ドセタキセル投与中のがん患者において、セントジョーンズワートの投与は禁忌となります。
これまでの多くの研究によって、セントジョーンズワートは、単独の投与では、安全性と有効性の確立されたハーブです。

ただし、一部の医薬品との相互作用がありますので、医薬品との併用投与は避ける必要があります。
DHCでは、セントジョーンズワートを主成分とするサプリメントや、複合サプリメントを取り扱っています。

うつ病についての研究として、次のような報告があります。
DHAによる重症うつ病改善作用
うつ病に対するEPAの効果
抗うつ作用のあるサプリメントレビュー
セントジョーンズワートはSSRIと同等の抗うつ作用を示す
うつ病治療におけるセントジョーンズワートの費用対効果
うつ病へのビタミンDサプリメント投与
緑茶による報酬学習の改善と抗うつ作用
野菜と果物の摂取が多い高齢者はうつ病リスクが低い

若年女性における葉酸の抗うつ作用
うつ病ではビタミンDが低値
コーヒーの摂取が女性のうつ病リスクを抑制
ビタミンB群が脳卒中後のうつ病を予防