海藻由来フコイダンによる免疫調節作用

ガン治療にも使われているフコイダンであるが、免疫を調整する作用があると思われる。

リウマチや自己免疫疾患にも利用されると良いだろう。

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今月の栄養学の専門ジャーナル(電子版)に、インフルエンザ予防接種における、海藻由来フコイダンの免疫系への作用を調べた臨床研究が、日本のグループ(武庫川女子大学, 理研ビタミン)から報告されていました。(J Nutr. 2013 Sep 4)

フコイダンは、モズクやワカメ、昆布などの海藻類に存在する多糖類です。
海藻のヌルヌルした成分の一つで、生活習慣病等に対する効果が報告されています。
高齢者では、インフルエンザワクチンの予防接種に対して、十分な免疫反応が得られないことがあります。
フコイダンは、免疫調節作用を有する機能性成分です。

そこで、今回の研究では、インフルエンザワクチン接種後の高齢者におけるメカブフコイダンの免疫機能への作用が調べられました。
具体的には、ランダム化二重盲検偽薬対照試験として、60歳以上の被験者70名を対象に、
1日あたり300mgのメカブフコイダン投与群あるいは偽薬群の2群について、4週間の投与が行われ、
続いて、季節性インフルエンザワクチンの接種が行われました。

ワクチン接種後5週間と20週間の時点で採血され、抗体価とNK細胞活性が測定されました。

解析の結果、偽薬群に比べて、メカブフコイダン投与群では、季節性インフルエンザワクチンの3種類のウイルス株すべてに対する抗体価が有意に上昇していました。

また、メカブフコイダン投与群では、NK細胞活性が投与9週後から有意な増加を示しました(P = 0.08)。
一方、偽薬群では、9週から24週間にかけて、NK細胞活性は低下していました。

以上のデータから、メカブフコイダンは、高齢者において、免疫調節作用を介して、インフルエンザワクチンの有効性を高めることが示唆されます。
今後、ワクチン接種後のインフルエンザ罹患率や重症度への影響など、臨床的意義の検証が期待される分野です。

フコイダンは、フコースを主成分として硫酸基やウロン酸などが結合した多糖類(硫酸化ポリフコース多糖類)の総称です。
原材料となる食用褐藻類(オキナワモズク、フトモズク、ヒバマタ、メカブ等)の種類によって、
フコイダンの種類や含有量が異なっており、生理作用にも違いがあるとされます。

基礎研究では、フコイダンの抗酸化作用、アポトーシス誘導による抗がん作用、抗菌作用等が示されてきました。その他、胃粘膜保護作用や胃潰瘍治癒促進作用についての報告も知られています。