糖質制限食と心血管リスク 

糖質制限食の効用が学会でも比較試験の結果として出てき始めた。

こうした新しいコンセプトは当初ほとんどの人が理解できない。ごく少数の人が直感的に理解して、それから研究者達が後追いで試験をはじめる。しかし、既成勢力の抵抗にあってなかなか認められない。

 しかし、真実は曲げられないために徐々にその真実を知る人たちが増えてきてしょうがなく認知される。

 今までの栄養士学会などでは糖尿病食で白いご飯にヤキソバなどという炭水化物だけの治療食が出ていたが、それもこれからは変わってくるだろう。

 当院でも低炭水化物ダイエットの外来を行っているが、10年前から効果は抜群である。

 

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本日参加した学会で、糖質制限食についてのプレゼンがありました。
糖質制限食については、すでに多くのランダム化比較試験(RCT)によって、肥満や2型糖尿病に対する有用性が示されています。

10年ほど前に、糖質制限食の有効性がRCTで示されはじめたとき、反対派からの批判は、・介入期間が十分に長くないため、長期成績がわからないこと、(メイヨークリニックから示された最初のRCTは6ヶ月ほどでした)
・高タンパク・高脂質になることから心血管リスクを高めるのではないかという懸念、の2点でした。

まず、最初の介入期間については、イスラエルで行われたDirect試験によって、
2年間の介入による有効性が示されており、その後6年間のフォローアップでも有効性と安全性が示されています。(その他にも1年程度の介入試験は数多くあります。)

次に、心血管リスクについては、タンパク質と脂質の選択に留意すること、つまり、焼き肉やステーキを食べ放題、ということではなく、オメガ3系脂肪酸の多い魚類や、エクストラバージンオリーブオイルを用いる、ということで解決できます。

今年の前半に発表された糖質制限食に関するメタ解析では、糖質制限食は心血管リスクを高めると結論されています。ただし、これらは、観察研究を解析の対象にしており、タンパク質や脂質の種類が考慮されていません。

NHSなどの研究で、タンパク質や脂質の種類別に解析した場合、動物性たんぱく質や動物性脂質を減らすことで、糖質制限食による心血管リスクは高くならないことが示唆されています。
つまり、糖質制限食で心血管リスクが高くなるかもしれないというのは、観察研究に基づく説であり、RCTで支持されているものではありません。

現在、糖質制限食/低炭水化物食は、低カロリー低脂肪食とともに、肥満や2型糖尿病対策の食事療法として選択肢の一つと考えられます。
(心血管イベントをアウトカムにするようなランダム化比較試験を糖質制限食と対照食で組むのは非現実的ですので、現時点でのエビデンスを俯瞰するとき、脂質やタンパク質の種類や質に注意しつつ、緩やかな糖質制限食にするという選択が、肥満や2型糖尿病対策からアンチエイジングといった目的にかなっていると思われます。)