レスベラトロールによる熱産生亢進を介した減量作用

レズベラトロールはがん治療にも使っているサプリメントであるが、代謝を亢進していることがわかった。

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食物化学の専門ジャーナルに、レスベラトロールによる熱産生亢進を介した減量作用を示した基礎研究がスペインのグループから報告されていました。(Food Chem. 2013 Nov 15;141(2):1530-5. Epub 2013 Apr 13)

レスベラトロールは、ポリフェノールの1種で、赤ワインやブドウ、ピーナッツなどに見出される色素成分です。
さて、今回の研究では、
レスベラトロールによる骨格筋および肩甲骨間の褐色脂肪細胞での熱産生への影響が調べられました。

具体的には、ラットを用いて、レスベラトロール(30mg/kg/day)が6週間投与され、非投与群との比較が行われています。
解析の結果、レスベラトロール投与によって、褐色脂肪組織において、
TFAM(mitochondrial transcription factor A;ミトコンドリアゲノムのコピー数の維持や転写において働くタンパク質)遺伝子の発現亢進、ミトコンドリアCOX2(mitochondrial-protein-cytochrome-C-oxidase subunit-2)遺伝子発現の亢進、
サーチュイン-1(SIRT1)遺伝子の発現亢進
PPARβ/δやPGC-1α遺伝子発現の亢進
が認められ、UCP1タンパク質発現の増大も見出されました。

なお、PPARα発現には変化は見出されていません。
また、骨格筋(腓腹筋)では、
TFAM とCOX2の遺伝子発現亢進が認められましたが、SIRT1, PGC-1α,PPARβ/δには変化は示されていません。
なお、レスベラトロール投与群において、アセチル化PGC-1αの減少が認められたことから、
UCP3タンパク質の活性と発現の亢進が示唆されます。

以上のデータから、レスベラトロール投与によって、骨格筋および褐色脂肪組織という2つの熱産生組織において、UCPタンパク質の発現増加が生じ、エネルギー消費量が増大することで体組成の改善が生じると示唆されます。

今後、臨床的意義の検証が期待される分野です。
現在、レスベラトロールは、抗酸化作用や抗炎症作用を有し、代謝に好影響を及ぼすことから、健康維持や生活習慣病予防からアンチエイジングの分野で注目されています。

例えば、基礎研究では、
レスベラトロールによるインスリン抵抗性改善作用
レスベラトロールによる糖尿病予防
レスベラトロールによる糖代謝改善作用
レスベラトロールの心不全リスク低減作用
レスベラトロールによる肥満予防のメカニズム
レスベラトロールによる抗がん作用
レスベラトロールによる大腸がん抑制作用
レスベラトロールの抗炎症作用
動脈硬化抑制作用
という報告があり、ヒト臨床研究では、
レスベラトロールによる肥満者での代謝改善
レスベラトロールによる糖尿病改善作用
レスベラトロールによる脳循環改善
子宮内膜症関連痛に対するレスベラトロールの効果
という報告が知られています。