肝臓がんとマリアアザミ

 マリアアザミとは葉っぱに白いまだら模様があるのが特徴。模様はミルクがこぼれたように見えるために、ミルクを聖母マリアに由来するものとしてマリアアザミの名がある。種子にはシリマリン (Silymarin) と呼ばれる4種のフラボノリグナン類 (flavonolignans) が多く含まれ、傷ついた肝細胞の修復を助けるとされている。

ヨーロッパでは2000年以上も前から、主に肝臓の疾患などに対して種子が利用されてきた。近年では肝機能改善のためのサプリメントとして利用されている。ドイツのコミッションE(ドイツの薬用植物の評価委員会)は、粗抽出物の消化不良に対する使用、標準化製品の慢性肝炎肝硬変への使用を承認している。米国ハーブ協会の分類はクラス1で、適切に使用される場合、安全に摂取することができるハーブに分類されている。(wiki pediaより)

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http://www.dhcblog.com/kamohara/

今月のがんと統合医療治療研究の専門ジャーナル(電子版)に、肝臓がんに対してマリアアザミ抽出物を投与した第1相臨床試験が、米国のグループ(Columbia University)から報告されていました。
(Integr Cancer Ther. 2013 Jun 11.)

マリアアザミ(英名Milk thistleミルク・シスル,学名Silybum marianum)に関しては,種子の抽出物に含まれるシリマリンsilymarinによる肝臓保護作用を示した研究が知られており,肝臓対策のハーブサプリメントとして広く利用されています。

さて、今回の研究では、HCC肝細胞がん(進行がん)および肝障害を有する患者において、マリアアザミ抽出物・シリビン(silybin phosphatidylcholine)の許容性(1日あたりの最大用量)が調べられました。

具体的には、HCCの進行がんを有し、他の治療法の適応がない患者を対象に、
1日あたり2, 4, 8, 12グラムの用量漸増試験として12週間の介入が行われています。

3名の患者がエントリーし、1日あたり2グラムを摂取した結果、血中のシリビニン値は、1-3週間以内に増加しました。
3名とも、肝機能障害や腫瘍マーカー(αFP値)は進行(悪化)しましたが、
56日後以降に、患者1名において、肝機能指標の改善と炎症マーカーの改善が認められたということです。

エントリーした患者3名とも、23日から69日目に肝不全にて死亡しています。
今回の予備的な研究では、予定された漸増試験が完了せず、被験者も少ないことから、許容量や忍容性などは明らかではありません。

また、他の治療法の適応にならない、つまり、外科治療や化学療法、放射線療法といった標準治療の適応のない、進行したHCCを対象にしていますので、マリアアザミによる改善効果を期待するには投与時期が遅すぎるという課題も想定されます。

一般に、機能性食品成分の場合、本来であれば、標準治療の補完療法として併用することでシナジーが期待できると考えられますので、臨床応用に即した研究、患者指向のアウトカムを設定した臨床研究の推進が必要と考えられます。