飲酒や血流不足で脳波萎縮するが、ビタミンEではなくてBにおいて萎縮抑制効果があるとわかった。

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米国科学アカデミー紀要に、高用量のビタミンB群の投与によって、加齢に伴う脳萎縮(灰白質)萎縮抑制作用を示した臨床研究が、イギリスのグループ(University of Oxford)から報告されていました。
(Proc Natl Acad Sci U S A. 2013 May 20.)

認知症の予防や改善に対して、ビタミンB群とオメガ3系脂肪酸(EPAやDHA)含有サプリメントが利用されています。
ビタミンB群については、脳萎縮進行抑制効果を示した臨床研究が話題になりました。

さて、今回の研究では、ビタミンB群投与による脳萎縮進行抑制効果に関して、アルツハイマー病との関連が想定される灰白質の委縮に対する働きが検証されています。
(ビタミンB群による脳萎縮進行抑制効果を報告した、同じグループからの報告です。)

-- 研究の背景として、認知機能の低下やアルツハイマー病の発症を予防する目的で、介入が可能な非遺伝性の要因を調べる、という考えがあります。
-- 介入方法の一つとして、ビタミンB群投与によって、血中ホモシステイン値の低下を介した動脈硬化抑制があります。

--先行研究では、高齢者を対象に2年間の高用量のビタミンB群投与(葉酸800マイクログラム, vitamin B6 20 mg, vitamin B12 0.5 mg)によって、脳萎縮(全脳萎縮)が抑制されることが示されました。

今回の研究では、アルツハイマー病での病変として見られる灰白質の委縮が、ビタミンB群の投与によって、抑制されたということです。

偽薬群では、血中ホモシステイン値が高値であり、灰白質萎縮の進行が顕著でしたが、ビタミンB群の投与では、この進行が抑制されました。

また、このビタミンB群による効果は、血中ホモシステイン値が高値(中央値の11 µmol/Lを上回る)群において、より顕著でした。
この群での解析では、ビタミンB群投与によって、ホモシステイン値が低下し、続いて、灰白質の萎縮抑制と認知機能の低下抑制が見出されています。

以上のデータから、高齢者における高用量のビタミンB群投与によって、脳萎縮の進行抑制、特にアルツハイマー病の進行に関与する部位の萎縮抑制が認められ、認知機能低下の抑制作用も示唆されます。
(前述のように、この効果は、血中ホモシステイン値が高い群において顕著でした。)