喫煙は今やガン発生原因の最右翼として叩かれている。

しかし、ほかにももっと原因があるのではないだろうか?

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http://www.cancerit.jp/21815.html

MDアンダーソンがんセンター    

201349

米国癌学会(AACR)は本日、癌患者受診時の喫煙評価および禁煙治療の提供をさらに勧めるガイドラインを公表した。

Clinical Cancer Research誌(AACR発行)や第104回米国癌学会議で発表されたこの声明では、禁煙の利益、癌の転帰に対する喫煙持続の影響、および癌患者への他の健康上の影響が取り扱われ、喫煙と取り組むガイドラインが提供されている。

 

禁煙政策声明内のデータによると、米国だけでも、全ての癌関連死の約30%と全ての肺癌関連死の87%は、喫煙に起因する。喫煙者の約70%は禁煙を望んでおり、また、50%以上は禁煙を1回以上試みたことがあるという報告もあった。

 

「この数にはおどろきます」とEllen R. Gritz博士(テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンター行動科学部門教授兼部門長、本論文の共著者)は述べた。「この禁煙政策声明は、とくに全ての医師や癌医療従事者にとって非常に重要です。なぜなら、担当医や他の医療従事者、と共に患者の視点から、禁煙の重要性を強調しているためです」。

 

AACR煙草・癌小委員会は本声明で、以下のような癌患者の禁煙を支援するいくつかの取組事項を要求した。

・受診時や癌臨床試験時における癌患者の喫煙に関する評価文書の作成

・喫煙評価の共通基準の作成

・喫煙者に対する禁煙の援助・支援の提供

・         禁煙プログラム・方法に対する共同支援や財政的支援

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Gritz氏は同小委員会会員を4年間務めているが、本声明が、診断時から、治療中、および生存期間をとおして、癌患者の喫煙状況を厳密に評価する必要性を支持していることを強調した。

「禁煙は、生存結果や生活の質に対する影響を含む、治療中や治療後に重大な違いをもたらす可能性があります」とGritz氏は述べた。「私たちは、禁煙支援の提供や最近禁煙したばかりで長続きするよう支援が必要な人への紹介を続ける必要もあります」。

 

本声明は、癌患者の喫煙持続により、治療の副作用や二次癌の発症のリスク、ならびに、うっ血性心不全、心臓疾患、および肺疾患などの他の健康リスクが増加することを示す多数の研究由来のデータを引用している。

 

癌患者の喫煙評価は臨床試験結果における交絡因子を確実に捉えることも、同小委員会は提言する。「癌の治療と転帰における喫煙の影響をさらに研究することも重要です。特に、臨床現場や癌臨床試験においてです」とGritz氏は述べた。

 

米国国立癌研究所(NCI)臨床試験共同団体プログラムによる最近の全国調査の結果から、登録された臨床試験のうち参加時に喫煙を評価したものは29%しかなく、また、試験参加者の現在の喫煙状況の追跡調査が実施されたものはさらに少ないことが示された。

 

「全ての医師と医療従事者はいずれ、医療費負担適正化の一部として、患者に喫煙について尋ねるでしょう。なお、この適正化により、全ての医療機関は電子カルテ使用に移行し、また、喫煙状況評価の有意義な利用基準が作成されています」とPaul Cinciripini博士(同大学同センター行動科学部門教授、同センター禁煙治療プログラム(同センターの患者・職員・その家族を対象にする総合禁煙プログラム)長)は述べた。

 

同センターの癌専門医が自動的に喫煙評価に基づいて患者を照会するため、同プログラムでは総患者照会率の35%増加が認められている。なお同プログラムは、喫煙評価と患者の禁煙支援を目的とする同センターで実施されている、いくつかの禁煙方法の1つに過ぎない。

 

「誰もが喫煙によるリスク増加と低い生存率を意識する必要があります。強調すべきことは、禁煙するのに遅過ぎるということはないということです。禁煙とその持続は、癌に対処する人々や喫煙している家族の方々に影響を与えます」とGritz氏は述べた。「癌の診断や治療により、家族の方々が禁煙し、家庭内での受動喫煙を減らすための『指導の好機』が得られます」。

 

2012年9月、Ronald DePinho医師(同センター総長)は、ムーンショット計画の開始を介して、同センターの公約である8種類の癌の生存率の改善を宣言した。その中の1つが肺癌で、米国では毎年160,000人以上が死亡する。 癌予防・制御プラットフォームが組織され、全てのムーンショットにわたって禁煙を支援している。

 

Gritz 氏は、組織は突如として変化しないことを認めながらも、本声明により、NCIが出資する全ての臨床試験で、喫煙に関する標準化された情報を収集する権限をNCIが得、これにより臨床現場において腫瘍学の基準が設けられることを希望している。

 

「癌患者が今まで禁煙支援を受けていない場合は、臨床試験は禁煙支援を組み込むよう義務付けられることもあるでしょう」とGritz氏は述べた。NCIが、究極的なデータ蓄積と、この政策的文書でタバコの影響をメタ解析し、治療や脆弱な患者群との関連を論じる機構を援助することが有益とわかるかも知れない。

 

Ellen Gritz氏の共著者は、Benjamin A. Toll博士(AACR煙草・癌小委員会議長も兼任)、Roy S. Herbst医学博士(いずれもイェール大学医学部イェールがんセンター)、Thomas H. Brandon博士(H・リー・モフィットがんセンター・研究所)、ならびに、Graham Warren医学博士(サウスカロライナ医科大学ホリングスがんセンター)である。

2013年4月9日

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