大豆製品の摂取による肺がん生存率改善

 

大豆が癌の予防に効果があるという論文は多い。いろいろな癌でそれが証明されている。実際、発酵ダイズでがんの治療効果もずいぶんと上がっている。その類の論文も多い。こういった情報こそ、自然で誰にでも可能でかつ費用対効果も高いものだと思う。

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臨床腫瘍学の専門ジャーナル(電子版)に、大豆製品の摂取が多いと、肺がんの予後が改善(生存率が改善)するという相関を示した臨床研究が報告されていました。(J Clin Oncol. 2013 Mar 25.)

大豆では、大豆タンパクによる脂質代謝改善作用、大豆イソフラボンによる女性ホルモン様作用や抗酸化作用を介した機能性などが知られています。
また、大豆イソフラボンには抗酸化作用があり、非喫煙者の女性では、大豆食品の摂取と、肺がんリスクとの間に負の相関が見出されています。

そこで、今回の研究では、大豆食品の摂取と、肺がんの予後との関連が検証されました。
(Shanghai Women's Health Studyという研究の一環です。)
具体的には、肺がんと診断された女性444名を対象に、

大豆製品の摂取と、2年間後の転帰が調べられています。
解析の結果、2年間の追跡期間中に318名が死亡しました。
大豆製品の摂取が多いほど、生存率が高い、という相関が見出されています。

効果の大きさについての解析では、大豆製品の摂取が最小群では死亡率が1.81倍、
最高群では死亡率が0.89倍となっていました。
(10th, 30th, 70th, and 90th percentiles;1.81 (95% CI, 1.26 to 2.59), 1.25 (95% CI, 1.09 to 1.42), 0.88 (95% CI, 0.80 to 0.97), 0.89 (95% CI, 0.68 to 1.16))

大豆イソフラボンについても同様の相関関係が見出されました。
以上のデータから、大豆製品および大豆イソフラボンの摂取は、女性における肺がんの予後を改善する/死亡率を低減する、という働きが示唆されます。

本研究に関連した解析として、次の研究があります。
乳がんサバイバーと大豆食品の摂取
大豆による肺がんリスク低下作用@女性
大豆など植物性食品の一部には、女性ホルモン様作用を有するファイトケミカルの1種、イソフラボン類が豊富に含まれており、女性特有の病気に対する予防や改善作用などの機能性が知られています。

機能性食品素材を含むサプリメントでは、大豆イソフラボン含有食品が製品化されています。
(アグリコン型ではなくて)大豆食品に存在する化合物の形であるグリコシド型(配糖体型)の大豆イソフラボン類であれば、乳がんの予防だけではなくて、乳がんサバイバーの死亡率低下や再発予防にも補完的に利用できると考えられます。

(今回の研究データは、大豆サプリメントではなくて大豆食品であり、大豆サプリメントの効果については別途、臨床試験による検証が必要である、という批判があるかもしれません。ただ、乳がんサバイバーの方で、いつになるかわからない臨床試験の結果を待っていられない、という場合には、選択肢の一つとして、グリコシド型の大豆イソフラボンサプリメントがある、という話です。)