女性の乳がんはホルモンレベルに影響され、妊娠の有無、妊娠年齢にも左右される。
人間の発ガンはさまざまな要素で影響を受けており、現代的なライフスタイルもまた、発ガンの一因となるようである。
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NCI原文ページへ 原文日時:2008年4月30日
はじめに
女性のホルモンレベルは、さまざまな理由により一生を通じて変化します。そして、ホルモンの変化は乳房の変化につながることがあります。妊娠中に生じるホルモンの変化は、後の乳癌発症リスクに影響を及ぼすようです。これまでの研究によって、妊娠や出産のような生殖イベントと乳癌リスクとの関連性が明らかになってきました。米国国立癌研究所(NCI)は現在、妊娠した場合と同じような乳癌予防効果が得られる方法を確立し、それを効果的な予防戦略に応用しようと試みる研究に資金を提供しています。
乳癌を予防する妊娠関連の因子
妊娠に関連する因子のいくつかは、女性が後年乳癌を発症する確率を減らすことが知られています。
- 第1子出産年齢が若ければ若いほど、生涯にわたって乳癌発症のリスクが下がる。
- 35歳以降に第1子を出産した女性は、20歳以前に第1子を出産した女性に比べ約2倍の乳癌発症リスクがある。
- 30歳前後に第1子を出産した女性の乳癌発症のリスクは、出産経験のない女性とほぼ同程度である。
- 2児以上の出産経験は乳癌発症の確率を下げる。とくに若年における2児以上の出産によって、生涯にわたって乳癌発症のリスクが下がる。
- 完全に解明されているわけではないが、妊娠中に発症することがある子かん(癇)前症は子における乳癌リスクの減少と関連があると示唆する研究があり、また母体の乳癌を予防するとの報告もある。
- 妊娠後、長期間(たとえば1年またはそれ以上)授乳することにより、乳癌リスクが少しではあるがさらに下がる。
乳癌リスクを増大させる妊娠関連の因子
妊娠に関連する因子のいくつかは、乳癌を発症する確率を高めることが知られています。
- 出産後、乳癌リスクは一時的に増大する。一時的にリスクが増大するのは2、3年間だけである。
- 1940年代初頭から1971年の間に使用された合成エストロゲンのDES(ジエチルスチルベストロール)を妊娠中に服用した女性は、乳癌発症リスクがわずかに高い。(これまでのところ胎児期にDESに暴露された女性の乳癌リスクの増大を示す研究はない。このような女性は「DES娘」と呼ばれる。)
妊娠に関連しないその他の乳癌リスク因子
現在、女性の乳癌発症リスクを高めることが知られているその他の因子には年齢(加齢とともに乳癌発症リスクが増大)、一親等(母、姉妹《※訳注:日本では二親等》、または娘)の乳癌家族歴、早い初潮(12歳以前)、遅い閉経(55歳以降)、閉経後のホルモン補充療法薬の使用および一部の乳房異常などがあります。
閉経後の女性においては、肥満も乳癌のリスク因子となります。上記やその他の乳癌リスク因子については、NCIの出版物『乳癌について知っておくべきこと(What You Need To Know About Breast Cancer)』も参照して下さい。
乳癌リスク因子に関する誤解
乳癌の原因であると誤解されているものがいくつかあります。一例を挙げれば、デオドラントや制汗剤の使用、ワイヤー入りブラジャーの着用、流産や妊娠中絶、乳房組織の打撲などです。これらの因子が乳癌リスクを高めることを示す研究はありません。さらに、癌は感染性ではありませんから他人から癌が「うつる」ことはあり得ません。
乳癌の予防
乳癌リスクを下げるためにできることがいくつかあります。飲酒量が増すにつれて乳癌リスクが増大することを示す研究があるため、アルコール摂取量を控えめにすることが重要です。太りすぎは閉経後の乳癌リスクを高めるので、健康的な体重を維持することも重要です。最近の研究結果によれば、よく運動することもリスクを下げるようです。生涯にわたって運動を続けるか、少なくとも閉経後に運動をすることは、乳癌リスクを下げるためにとくに有益です。野菜や果物に富んだ食事を摂り、また運動によって消費する熱量とのバランスのとれた熱量や油脂を摂取することは、成人における体重増加を防ぐためによいことです。
乳癌の発見
乳癌を早期発見する可能性を高めるために、一人ひとりの女性が積極的にできることがあります。40歳代になったら毎年または隔年マンモグラフィ検査を受けることをNCIは推奨しています。ただし、平均以上の乳癌リスクがある場合(たとえば乳癌家族歴のある女性)は、40歳未満でも受診すべきかどうか、また検診の頻度はどうすべきかを医療専門家に相談しなくてはなりません。
関連資料 National Cancer Institute Fact Sheet 3.75, Abortion, Miscarriage, and Breast Cancer Risk(中絶、流産と乳癌リスク)
What You Need To Know About™ Breast Cancer(乳癌について知っておくべきこと) http://www.cancer.gov/cancerinfo/wyntk/breast General Information About Breast Cancer(乳癌に関する一般情報)
Summary Report: Early Reproductive Events and Breast Cancer Workshop(サマリー・レポート:初期生殖イベントと乳癌ワークショップ)
米国国立癌研究所(NCI) 癌情報サービス(フリーダイヤル) 電話:1-800-4-CANCER (1-800-422-6237) TTY: 1-800-332-8615
オンライン NCIホームページ:http://www.cancer.gov LiveHelp、NCIオンラインヘルプ https://cissecure.nci.nih.gov/livehelp/welcome.asp
(盛井有美子 訳・監修 朝井鈴佳)

