アスピリン、一部の大腸がんに効果? 米ハーバード大

朝日新聞デジタル 10月25日(木)18時54分配信

 【東山正宜】鎮痛剤のアスピリンが、ある特定の遺伝子に変異がある大腸がん患者については死亡率を減らす効果がある、との論文が、25日付の米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載された。米ハーバード大の荻野周史(しゅうじ)准教授らが米国の患者を過去にさかのぼって追跡して分析、報告した。今後、実際の効果を確かめる研究を進めることになりそうだ。

 荻野さんらは、医療関係者が参加する健康調査から、2006年時点で大腸がんと診断され、細胞を分析できた964人の経過を追跡した。このうち「PIK3CA」というがんの増殖に関わる遺伝子に着目、その遺伝子に変異があった161人と、遺伝子変異のない803人について、アスピリンを飲むかどうかで予後の違いを比べた。

 遺伝子変異があったグループでは、アスピリンを飲む習慣がなかった95人のうち44人が昨年1月までに死亡、うち大腸がんが死因だったのは26人だった。一方、アスピリンを週に複数回飲んでいたのは66人で、亡くなったのは18人。このうち死因が大腸がんだったのは3人だった。
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朝日新聞社

最終更新:10月25日(木)20時13分