ガンに対する免疫療法は様々なものがある。例えば今回記事にあったCARーT免疫療法などのように体内のT細胞を取り出して培養するというものがある。培養する細胞がT細胞か、NK細胞かの違いはあるが原理は免疫細胞を体外で培養して増やして投与するという考えである。
こういう免疫療法は現在も存在するのだが記事の治療法では人工のT細胞を加工して治療に使えるものとしているようである。コストが低く済んだら患者さんにとっては救いになるものと思う。
抗ガン時だけで治療して、効果がなくなったら見放す現代の医療では患者さんは救えない。もっとたくさんの選択肢を患者さんに提供できる体制を作るべきだと思う。
10年以内の実現なるか?「がん免疫療法」による低コスト治療&がん予防の可能性【堀江貴文】(GOETHE) - Yahoo!ニュース
カラダは究極の資本であり、投資先である。そう断言する堀江貴文氏が、最先端の医療と美容情報を惜しげもなく伝授する本連載。第43回は「がん予防の可能性」。前回がんの「免疫細胞療法」について語ってくれた慶應義塾大学医学部の籠谷勇紀教授に実際の治療コストや適応するがん、そして免疫療法によるがん予防の可能性について尋ねた。 【写真】金を使うならカラダに使え。 老化のリスクを圧倒的に下げる知識・習慣・考え方
低コスト化を見込むがんの免疫細胞療法の新技術が、10年以内に実現する可能性も見えてきた
堀江貴文(以下堀江) 前回、先生のご専門の「免疫細胞療法」でがんが治せる時代に入ってきつつあることがわかりました。今回はがん予防の可能性についてもお聞きします。その前に、「がん細胞」ってバグってる異常細胞で、よく「1日に5000個できるけれどほとんどは免疫細胞の攻撃で死滅する」と言われますが、それでも増殖して“がん化”するのはなぜですか? 籠谷勇紀(以下籠谷) 例えばがん細胞は、分裂する過程で新たに遺伝子変異を起こした細胞が出てくるんです。そのなかには免疫の攻撃を受けにくい性質を持つがん細胞も出てきます。 堀江 免疫の攻撃をかいくぐるがん細胞が増殖していくということですね。そもそも、がん細胞の何が悪いんですか? 籠谷 無秩序な増殖を続ける性質があることですね。 堀江 がん細胞周囲の正常な細胞はどうなっていくんですか? 籠谷 増殖によって構造を壊されます。膵臓なら、膵管の構造が壊されてしまいますし、その際に細胞が生存を保つためのエネルギーも奪われてしまいます。 堀江 なるほど。そうしてがん化した状態を治療する免疫細胞療法について、振り返って説明すると、体外で培養した免疫細胞にがんを攻撃させる治療法で、がんの種類によっては保険適用の標準治療としてすでに使われているんですよね。 籠谷 そうです。免疫細胞は非常に多くの種類がありますが、リンパ球の一種であるT細胞の一部ががん細胞を直接攻撃できます。その性質を利用して、血液からがん細胞を攻撃できるT細胞を人工的に作って体外で培養し、これを薬として患者さんに注入する治療法です。 堀江 免疫細胞療法で使うのは、狙いたいがんの遺伝子の抗体(目印)を入れた、人工細胞のCAR-T(カーティ)細胞ですね。 籠谷 はい。体内に入ると自動的にがんを発見・攻撃します。がんが消えるとCAR-T細胞も減りますが、一部は生き残り監視を続ける特性があります。問題は治療費。患者さん自身から採血し培養するなど工程が多く、技術も時間も必要なため、1回の投与で3000万円以上かかるんです。2019年に一部の血液がんの治療薬として最初の製剤が承認されているので、患者さんは保険適用の標準治療として受けられますが、いかにコストを抑えるかは課題ですね。 堀江 研究開発のコストも膨大だし、高額にならざるを得ないのでしょうね。 籠谷 そこで注目されているのが「ユニバーサルCAR-T細胞」です。健康な他人の血液からT細胞を採って大量に培養するので、1回の採血で約100人分以上のCAR-T細胞を作れる可能性があります。これを凍結保存していつでも使える状態にすれば大幅なコストダウンとなり、品質のばらつきもありません。これまで治せなかったがんの治療法が広がる可能性が見えてきました。 堀江 CAR-T細胞の治療は毎月通院するのではなく、1回の注入で済むそうですね。 籠谷 はい。毎月数百万円かかる治療もありますから、治療総額だとCAR-T細胞治療が飛びぬけて高額、とは言えないかもしれません