コロナ感染は日本では収まりつつあると言っていいだろう。高知県でももう1週間以上新規感染者は出ていない。しかし、安心してはいけないのがコロナである。まだまだ分からないことも多いのだ。果たしてワクチンができるのか?
自然免疫が効果を発揮するのか?

ドイツやイタリア、欧米は徐々にロックダウンを段階的に解除しつつある。日本もその流れだ。うまく収束したらいいと思う。一方で韓国では再び感染者が見つかり始めている。厄介なウイルスだ。
油断してはならないし、自粛しすぎても経済的に世界が困窮し貧困と自殺が増えてきては困る。

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https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200508-00010001-wired-sctch

5/8(金) 12:13配信

 

MARCO CANTILE/LIGHTROCKET/GETTY IMAGES

ほんの数カ月前まで、わたしたちの多くは新型コロナウイルスの存在さえ知らなかった。しかし、一部の迅速な研究と数百万人の症例から収集したデータのおかげで、科学者たちはこのウイルスによる感染症のメカニズムや、集団内にどのように感染が広がるかについて多くを明らかにすることができた。

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とはいえ、まだかなり初期の段階だ。新型コロナウイルスについて多くの大きな疑問に対する答えは、まだ出ていない。新型コロナウイルスとの戦いとの“真の勝利”のために、科学者たちはこれらの疑問──そしてさらに多くの疑問に答えていく必要がある。

そのときになって初めて、わたしたちは正常な生活に戻れる。あるいは、少なくとも新しい日常に戻れるのだ。

1)新型コロナウイルスの感染者は何人いるのか?

一部の人たちにとって新型コロナウイルスに感染することは、ちょっと軽い風邪をひいたような感覚だろう。ある人たちは、自分が感染していることにまったく気付かないかもしれない。またある人たちにとっては、感染は死刑宣告にほかならない。

最善の場合でも、全世界で数えられている公式の数字は、入院患者数、病院での死者数、介護施設での死者数、検査を受けた地域の感染者数だ。しかし、多くの新型コロナウイルス感染症例は検出されないままである。

世界保健機関(WHO)が勧告したように、「検査、検査、検査」なのだ。

英国では、介護施設、不可欠な労働者とその家族、65歳以上の人たちとその家族が、もし誰かに症状がある場合に検査を受けられるように検査が強化されている。しかし、これでさえもすべての人を検査対象にはしない。実のところ、英国が1日当たり10万人の検査実施という目標を実現したとしても、ウイルスがどこまで広がっているかについて完璧に正確な実態は把握できないだろう。

把握する唯一の方法は抗体検査で、これは体内で新型コロナウイルスへの抗体が産生されているか調べるために血液を検査する手法だ。この検査で感染したことが証明される。この方法ですべての人を、過去の無症状の感染者でさえも数字として示すことができる。いまのところ、こうした検査がどれだけ信頼できるのか明確ではないことから、英国の当局は大きく展開させるつもりはないという。

2)感染により持続的な免疫が得られるのか?

ウイルスが初めて体内に侵入すると、免疫反応が引き起こされる。体はウイルスを回避する抗体を産生して患者は回復し、場合によっては免疫が維持される。だが、体はある種のウイルスとの戦い方をよりよく“記憶”することがある。このためわたしたちは、一生のうちに水痘(みずぼうそう)に2回かかる可能性は低い。これに対して一般的な風邪には、年に2回かかってしまうこともある。

体内の免疫システムは、新型コロナウイルスにどれだけ対抗できるのか──。それを科学者が解明できるほど、まだ新型コロナウイルスが現れてから長い時間が経っていない。抗体の存在が免疫があることを意味するのか説明できる研究はまだ存在せず、患者がウイルス検査で再び陽性になったとする報告も複数ある。

ウイルス感染から回復したあとの患者に免疫があるのか、そしてどのくらいの期間だけ続くのかを真に理解するには、時間と多くの研究が必要になるだろう。

3)どの程度の感染者が無症状なのか?

息をすることが困難になるほど重度の症状を経験する人たちがいる一方、認識できる症状をまったく経験しない人たちもいる。しかし、これがどの程度の割合の人たちに相当するのかは明らかになっていない。

専門誌『Eurosurveillance』に掲載された研究は、2月にクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号で検疫された乗客を対象として、無症状症例の割合は17.9パーセントと推定している。しかし、『Science』誌に掲載された別の研究は、患者の症状がほとんどないか無症状のため86パーセントもの症例が記録されない可能性があると推定している。

はっきりさせる唯一の方法は、広範な抗体検査の実施だが、それはまだ先のことだ。

4)極めて重篤になる人がいる理由は?

新型コロナウイルス感染症「COVID-19」のリスク因子の特定を試みている研究がある。『JAMA Internal Medicine』誌に掲載された201例の患者を対象にした研究は、新型コロナウイルス患者における急性呼吸困難と死亡の主要因子のひとつは高齢であることを明らかにした。しかし、重度の症状で病院に搬送された若年者も多く存在する。これらの若者に基礎疾患が何もなさそうであるにもかかわらずだ。

The Lancet』に掲載された研究は、新型コロナウイルス感染の致死率は60歳未満で1.4パーセント、60歳以上で4.5パーセントと推定した。高齢者は感染により死亡する確率がより高いが、だからといって若年者が死なないわけではない。

年齢グループの内部でも症状の重症度に大きな差異があり、無症状の人もいれば、死の瀬戸際の人もいる。一部の患者では特定の遺伝的変異が新型コロナウイルスの重症度を上昇させる可能性が考えられ、また喫煙者は新型コロナウイルスに感染しにくい可能性さえあるという。

5COVID-19は体にどんな長期的影響を引き起こすか?

新型コロナウイルスは肺だけでなく、脳、心臓、腸を攻撃する。『Radiology』誌に掲載された報告によると、COVID-19から生還した患者70例中、66例はCTスキャンの画像で確認できるダメージが肺にあった。

武漢の患者214例を対象にした研究は、36.4パーセントに頭痛、めまい、幻覚といった神経学的症状が認められたと報告している。しかしこうした症状にどんな持続的な影響があるのかは不明だ。

脳卒中を起こした若年者と中高年者についての報告もある。中国では、研究者がCOVID-19からの生還者の血液を調べたところ、ウイルスが一部の患者の心臓と肝臓の機能に影響を与える可能性が見つかった。これらの知見は懸念されるものだが、結論を出すにはより大きな集団を研究する必要があるだろう。

6)「第2波」はあるのか?

現行のロックダウン(都市封鎖)の問題の前に英国が合格しなければならない5つの試験のうちの1つは、「第2波」に対処する国の能力である。しかし、第2波は不可避だという人もおり、なかには米国立アレルギー・感染症研究所所長であり、ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策チームの主要メンバーであるアンソニー・ファウチも含まれる。

シンクタンクの経済問題研究所は、新型コロナウイルスの蔓延は2年間は続き、一連の波となって襲ってくるだろうと予測している。この予測は歴史上の事例を根拠としている。例えば1918年のスペイン風邪の世界的流行は3回の波があり、第2波の死者数が最も多かった。

しかし、すべての予想、モデル化、推測と同様に、第2波が来るのか、その規模はどれくらいか、どのような影響があるのかを確実に知ることは不可能だ。

7)子どもはどのくらい感染を広げるのか?

英国の教育水準局は、学校の再開が子どもたちにとって最大の利益になるだろうと言っている。だが、学校に通う子どもたちが新型コロナウイルスの拡散においてどのような役割を担うのかは不明のままだ。

認識されているリスクは十分に明らかである。何百万人もの子どもたちが学校に通い、大きなグループとして集まり、ウイルスを家に持ち帰る。しかし、ことはそんなに単純なものではない。

子どもは一般的な風邪やインフルエンザなど、ほかのコロナウイルスを拡散させる“スーパースプレッダー”として知られている。ところが、圧倒的多数の新型コロナウイルス入院症例は成人なのだ。

中国のある研究は、新型コロナウイルスの陽性と診断される子どもはほとんどいないとしている。つまり、子どもは感染の伝播においてほとんど役割を担っていないのかもしれない。

しかし、繰り返しになるが、まだ研究は十分には存在していない。学校に戻る子どもが新型コロナウイルスの伝播を著しく加速させるかについての十分なデータも、わたしたちは持ち合わせていないのが現状だ。