日本の緊急事態宣言の効果を考える
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毎日の死者数は横並びまたは少し減少していると言えるだろうか
緊急事態宣言が発令されたのが4月7日、全国に拡大したのが4月17日。現在21日です。まだ東京の患者数は明らかな減少はないというところです。果たして今回の緊急事態宣言は効果があったのか?と言う事です。5月の連休明けの5/月6日には政府の見解がでるでしょうが、なかなか難しいのではないかと思っています。
アメリカではロックダウンが始まったのがニューヨークでは3月20日からだ。
アメリカのデータを見ながら解説したい。なぜアメリカだというと、感染者の母数が大きくはっきりとした傾向が見えやすいからである。
日本の場合は毎日の新規患者数が少なくて何とも言えない、傾向として読み取っていいかわからないからだ。まずは患者総数。
Total Coronavirus Cases in the United States
Daily New Cases in the United States
Active Cases in the United States
Total Coronavirus Deaths in the United States
総死亡数も増えている。これは仕方がない。まだまだ医療が追い付いてないのだろう
これからから考えて、アメリカではロックダウンで死者数が減っているが、患者の数は増加している。つまり、医療崩壊はある程度止められているが、患者の増加は止まってない。爆発的増加からコントロールされた増加になっている。ここから考えられることはロックダウンしても患者は減らない。新たに必ず出てくるという推測だ。
そして、この推測はまず正しいだろう。その証拠に専門家たちが、収束は来年もしくは再来年2022年になると言い始めている。
つまり最終的には国民の半分以上が感染し、集団免疫が形成されるまで感染は拡がると言う事である。今のロックダウンや緊急事態宣言は感染のスピードを抑えこみ、医療崩壊を防ぐことが目的だ。死亡者数が増えなければさほど心配はない。多くの人は無症状か風邪程度の症状だ。重症化する人たちを医療機関が治療できればいい。
日本の場合、潔癖なまでに手洗いとうがい、マスクを徹底しているから新規の患者数はさほど多くない。もともと毎年インフルエンザや肺炎の患者が多い季節だが、今年は減少しているようだ。その分コロナ患者が増えて何とか医療現場は回っている。軽症者を入院させることさえしなければ医療崩壊は防げるのではないか。
日本のこれからを考えてみると、日本の患者の増加数はたかが知れている。アメリカの爆発には到底至ってないし、医療崩壊も起きていない。これからも自粛すれば今の程度の患者数だろう。
逆に言うとアメリカのデータから想像するに、患者の増加は基本的にはゼロにはならない。むしろ徐々に増やして集団免疫をつけるほうが良い。
日本人は手洗いとうがい、マスクを徹底したら民族的なまじめさで徐々に感染拡大して、良い具合に集団免疫が獲得できると思うし、それしか解決方法はないだろう。
世界はこれからロックダウンを解除し、徐々に通常の生活に戻るだろう。しかし、それはコロナ以前の生活とは違う生活になるだろう。マスクは必需品になり世界は衛生観念を第一に考えるようになるだろう。コロナウイルスは60度に1時間加熱しても死なないらしい。当然夏の環境も生き抜くだろう。そしてまた冬がやってきて再度流行するだろう。
それでも人は生き抜かなければならない。経済を止めてはいけない。経済活動しながら、衛生観念を高めて生き抜くことだ。経済が死んでしまえば人間も死ぬ。社会が崩壊するのだ。ウイルスとの共存がテーマになると思う。
患者数 死者数 回復数 重症 検査数 100万人当たり
World | 2,483,180 | +2,677 | 170,501 | +104 | 652,588 | 1,660,091 | 57,338 | 319 | 21.9 | All | ||
1,113,700 | +604 | 104,523 | +32 | 325,656 | 683,521 | 26,139 | Europe | |||||
852,308 | +912 | 45,476 | +43 | 89,163 | 717,669 | 15,208 | North America | |||||
USA | 792,938 | +179 | 42,518 | +4 | 72,389 | 678,031 | 13,951 | 2,396 | 128 | 4,027,367 | 12,167 | North America |
397,464 | +995 | 15,157 | +25 | 186,993 | 195,314 | 6,304 | Asia | |||||
Spain | 200,210 | 20,852 | 80,587 | 98,771 | 7,371 | 4,282 | 446 | 930,230 | 19,896 | Europe | ||
Italy | 181,228 | 24,114 | 48,877 | 108,237 | 2,573 | 2,997 | 399 | 1,398,024 | 23,122 | Europe | ||
France | 155,383 | 20,265 | 37,409 | 97,709 | 5,683 | 2,380 | 310 | 463,662 | 7,103 | Europe | ||
Germany | 147,065 | 4,862 | 95,200 | 47,003 | 2,889 | 1,755 | 58 | 1,728,357 | 20,629 | Europe | ||
UK | 124,743 | 16,509 | N/A | 107,890 | 1,559 | 1,838 | 243 | 501,379 | 7,386 | Europe | ||
Japan | 11135 | 263 | 1239 | 9633 | 217 | 88 | 2 | 116725 | 923 | |||
Switzerland | 27,944 | 1,429 | 18,600 | 7,915 | 386 | 3,229 | 165 | 224,442 | 25,933 | Europe | ||
24,209 | +38 | 1,164 | 6,471 | 16,574 | 174 | Africa | ||||||
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https://diamond.jp/articles/-/234291
「緊急事態宣言明け」に事態が好転している可能性が低い理由
「これからどうなる?」「効果はあるの?」
緊急事態宣言下で募る不安
4月8日午前中、私は緊急事態宣言が発令された翌日の東京の街の様子を観察して、気づいたことがあります。マスクをつけていない人が、結構目立つのです。指こそ差しませんが、そこ、あそこ、あの人、といった具合で、視界に7~8人が入ってくるたびに、マスクをつけていない人が1人程度の割合で見つかるような状況です。その理由については、本稿の最後で述べたいと思います。
4月7日夜、安倍総理が発令した緊急事態宣言について、メディアでは様々な疑問が投げかけられています。国民の関心事は「これからどうなるのか?」「これで効果があるのか?」の2点でしょう。それについては、どちらも大きな不安が生まれています。
不安が募る最大の理由は、政府も緊急事態宣言の対象となる都府県も、ロックダウンに踏み切らなかったことです。関係者は「最初からロックダウンなどとは、ひとことも言っていない」といった論調で語っていますが、そもそもロックダウンという言葉は、少し前まで誰も知らなかった、官邸や東京都知事が広めた言葉です。結局、彼らはそれをやらないということです。
さらに不安なのは、人々の接触を8割減らさなければ爆発的に感染が広まるというシミュレーションが前提なのに、政府からの打診もあり、東京都を除く府県が店などへの休業要請を2週間程度見送るとしている点です。一般の事務所も休業要請の対象外で、職場への出勤は「個々人の判断で自粛をお願いする」程度でしか止めることができません。試算の前提とやっている対策が、一致していないのです。
グローバルなニュースから見て取れるように、ニューヨークやパリではロックダウンが実施され、住民の外出が徹底して制限されています。ニューヨークは3月22日からロックダウンを始め、すでに16日が経ちます。ロックダウン後、新規の感染者数が目に見えて減少したのは14日目の4月6日ですが、減少したとはいえ3月22日の水準に戻っただけなので、これだけでピークを越えたと判断するのは微妙です。
同じく死者数も4月6日に初めて減少に転じましたが、それでも3月22日と比較して5倍の水準。データを見る限り、まだ2週間は様子を見なければ、ニューヨークのロックダウンを解除できるかどうか、判断は難しいところだと思います。
さて、問題は日本の緊急事態宣言です。ここで皆さんに覚えていただきたい数字があります。「-9%」です。これが何の数字かというと、グーグルが発表した世界中の人たちの4月2日時点における外出行動変化の数字のうち、「日本人で職場に出かける人が、1月上旬からの5週間の中央値と比べてどれだけ減少したのか」を示す数字です。スマホでグーグルのサービスを使っている人のビッグデータを分析した数字なので、ほぼ日本人の行動を正確に表していると思いますが、緊急事態宣言直前の平日でも、9割の人が出勤していることがわかります。
ちなみに日本のアンケート調査でも、「テレワークが実施された職場が2割程度」という数字があります。五十歩百歩という意味では、こちらの方が進んだ数字に見えますが、私の周囲でテレワークが実施された職場でも、週に何回かは出勤しなければいけない人がたくさんいるので、実際は行動履歴から算定した-9%の方がより正しいのだろうと、私は納得しています。
なぜ職場への移動は
欧米ほど減らないのか
この職場への移動の減少は、アメリカやフランスではもっと進んでいます。グーグルが公表した同じデータでは、アメリカは-38%、そのうちニューヨーク州では-46%、フランスは国全体で-56%です。ニューヨーク市やパリ市では、職場に行くことをほぼほぼ禁止した結果、全体で5割前後のテレワークになっているというレベルです。その結果、繁華街やターミナル駅での人手は-80%台で減少しているので、ニューヨークやパリの対策では「8割の接触は減らせている」といえるでしょう。
日本ではずっとクラスター対策を続けており、それは一定の効果がありましたが、今や東京都の新規感染者の7割は感染経路がわからなくなっているため、首都圏全体での3密(密集、密接、密閉)を防がなければならない段階に入っています。
緊急事態宣言がダラダラ長引くと
崩壊する業界が出かねない
さて、私の専門は経済ですが、経済的な観点から現状の何が問題かというと、こうやってずるずると効果がない形で自粛を続けていくことで、いち早く自粛を始めた業界から先に崩壊していく、ということです。緊急事態宣言は5月6日まで続きますが、その時点でまだ感染が終息しない可能性が高いとすれば、緊急事態宣言はさらに延長されるでしょう。
今、壊滅的な打撃を受けている業界を見ると、観光業界は1月24日から始まるはずだった中国の春節における訪日客が見込めなくなったときから打撃が始まっています。訪日需要が9割減少したこの日を起点に、現時点での緊急事態宣言終結予定日となる5月6日までの日数を数えると、103日目に相当します。
またイベントやスポーツ業界は、2月22日から自粛を求められており、観光業界と同様に考えると、自粛は74日に及びます。バーやナイトクラブなど歓楽街の夜の商売を都知事が自粛要請したのが3月30日で、こちらは同37日です。
この5月6日の時点でも相変わらず感染者が減らないとしたら、「じゃあ、いよいよロックダウンして職場への出勤をやめさせようか」という議論が、初めて始まりそうです。そして、観光やイベントなど先に自粛を始めている業界が、「これ以上は持ちこたえられない」と倒れ始めるでしょう。これが今考えられる状況です。
当たり前ですが、感染を終息させたいのであれば、1カ月の自粛を一斉にやるべきです。アメリカやフランスのように、結果として全国で5割の人が職場に行かないというレベルまで徹底してやるからこそ、8割の接触が減るという効果が出るのです。
それに対して日本は、「まずはイベントを自粛してください。レストランで花見をするのは構いません」という要請から始まり、次に「夜の繁華街は自粛してください」となり、今は「不要不急の外出は自粛してください。ただし、ホームセンターと理容に関しては意見が分かれています」といった議論が、だらだらと続いています。バカを見るのは、最初に自粛を始めた人たちです。
意識の低い人たちが
自発的に行動を変えることはない
冒頭で「マスクをしていない人が多い」ということに触れましたが、要するに「意識の低い人は行動を変えない」というのが現実なのです。意識の高い人たちが自主的に自宅に籠もっていても、これでは自粛期間は長引く一方です。また、意識の高い社員は「もう職場など行きたくない」と考えますが、意識の低い経営者はリモートワークへの切り替えを検討しません。だから前述のように、職場に出勤する人は「-9%」に近い数字から動かないのです。
こうした状況が続くと、おそらくその先にあるのは「先行自粛組」の大量倒産です。それは、観光、芸能イベント、ホテル・バス、旅行、イベントホール、プロスポーツといった業種で起きていく可能性があり、そこに関わる無数の個人が職を失います。夜の歓楽ビジネスも、当然なくなります。
こうして政治の思惑に振り回されながら、何とかコロナを封じ込めることができた日本では、観光、芸能、娯楽といった分野が壊滅しているかもしれません。不要不急ではないビジネスだけが残る未来、それが緊急事態宣言によって生み出されるものです。
「そんな事態を避けたい」と声を上げる人は、私も含めて少数派かもしれません。「ロックダウンだって躊躇なくやるべきだ」と、もっと多くの人たちに声を上げてほしいと思うのです。
(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)