毎年インフルエンザや風邪が流行する際に、マスクをするかしないかで問題になることがある。それは本当に効果があるかどうかである。

ウイルスの大きさはマスクの網の目の10分の1以下でありスース―とほぼ自由に出入りできる。我々が狭い家の廊下をやっとすれ違える廊下を想像してほしい。そしてその大きさの10倍の廊下を想像してほしい。自由に走れるのがわかるだろう。そんな状況でウイルスは容易にマスクから侵入してくる。だからほとんど感染防御の意味はない。しないよりはしたほうが若干ましという程度である。今回のコロナウイルスは空気感染はしないと公的にアナウンスされているので、実際の感染経路は飛沫感染か接触感染である。

飛沫感染とは患者が咳やくしゃみをした際に飛沫になって飛んでくるウイルスを口や鼻、目の結膜などの粘膜に受けてしまうと起きる感染のことである。マスクはだから感染者が咳やくしゃみで唾液や粘液を周囲にまき散らすのを防ぐ働きがあるのだ。つまりマスクの役割は自分が感染するのを防ぐのではなくて、相手に感染させないためのものであると言う事だ。

次に接触性の感染があるが、それはキスやハグ、粘膜同士の接触によるものをいう。粘膜組織が接触したり、先ほどの唾液や粘液を介しての感染であるから、家族や親しい人との接触にも感染のおそれがあるということだ。

そう考えると、健康な人が感染防御の意味でマスクを大量に買い求めてしまい、患者さんや免疫系の弱った人がマスクを着用できないことが大きな問題である。健康な人は感染防御のためにはうがいと手洗い、顔洗いをするほうがよほど効果がある。免疫の弱った人や老人や子供たちは感染の危険性が高いので、マスクをして少しでも感染防御に努めるほうが良い。しかしそのマスクがない。売り切れているのである。健康な人がマスクを買い占めて弱者である老人や子供たち、免疫の弱った人がマスク不足で困っているのは不都合な現象だと思う。

また、感染者や風邪ひいているひと、花粉症でくしゃみが多い人はエチケットでマスクをするべきである。かといってマスクを手に入れられなかったらどうするのか?くしゃみや咳をするときには口元にハンカチや上着の袖をあてて、飛沫を防ぐことが良いと思う。

飛沫感染と接触感染が感染経路なので、これでも相当感染を防げると思う。

また外出先で触ったも物や、思わず飛沫を受けているときには手洗い、顔洗い、うがいを必ず行い、外出着の洗濯はしなくてはならないだろう。

いずれにしてもパニック的にマスクを買いあさり、使うべき人達が使えないことが問題だと思う。それには正しい知識を得て、不必要にマスクを買い占めたり使いすぎないことも大切だろう。