がんゲノム医療検査で「効果ある薬発見」は1割どまり 厚労省

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最近では癌の患者さんに対して遺伝子検査ができるようになった。この検査では患者さんの癌細胞がどのような遺伝子を持っているのか検査できる。そしてその遺伝子に対応する薬を投与することで治療効果を高めようというものである。

ただし、遺伝子が見つかってもその遺伝子の働きを止めたり高めたりする薬はまだすべて見つかっているとは言えない。それゆえに効果ある薬の発見は1割となっている。しかし、これから創薬の世界においては遺伝子に対応する薬の開発が重視される時代になる。と言うのも、ほかの病気に対する薬はほぼ完成していて、高血圧や糖尿病などのコントロールを行う薬はこれ以上新しいものは出てこないのではないと言われているからだ。製薬メーカーの生き残りをかけた戦いも、このがん遺伝子の征服にあるだろう。

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毎日新聞2019127 1745(最終更新 127 2231)

 

がん患者の遺伝子変異を幅広く解析し、効果が見込める薬を探す「がんゲノム医療」の検査を受けた患者のうち、薬にたどり着けた人は1割にとどまるとの調査結果を、厚生労働省がまとめた

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100種類以上の遺伝子を一度に調べる「遺伝子パネル検査」は今年6月に保険適用された。適用後の実績調査に回答した134病院で10月末までにこの検査を受けた患者は805人。このうち薬が見つかったのは11%の88人だった。

 

遺伝子パネル検査は、標準治療を既に終えたか、希少がんなどで標準治療がない患者に対し、未承認や適用外の薬に次の一手がないか探るのが目的。ただ、標的となる遺伝子に働く薬がそろっているわけではなく、当初から薬に到達できるケースは限定的とみられていた。今後も定期的に調査する。

 

また、検査ができるのは厚労省指定の全国167病院だが、必要な人材がそろっていないなどの理由で検査を始めていない施設があることも判明した。体制整備が課題となりそうだ。(共同)