ダイエットのために運動しても体重がほとんど減らないのはなぜ?|大量の論文を読破してわかった「10の事実」

 

From Vox (USA) ヴォックス(米国)

Text by Julia Belluz and Javier Zarracina

 

途中からは有料記事になるので掲載できませんが、この論文の言いたいことはわかります。

結論を言うと、運動では痩せないと言う事でしょう。

そういうと語弊がありますが、運動だけでは痩せないと言いなおしたいと思います。

 

我々の体はカロリー消費を体細胞に依存しています。この時に言う細胞は血液や脳細胞をも含みます。意外に思うかもしれないのですが、脳細胞も非常に多くのカロリーを消費します。一日の消費カロリーのうち脳の消費は基礎代謝が1500kカロリーだとすると約20%の300kカロリーになると言われています。臓器が約40%で600kカロリー、その残りが筋肉というわけです。筋肉の消費カロリーは変動するので、運動しない日は沢山使われないし、運動した時にはその運動に応じて使われます。

運動で消費するカロリーは意外に少ないのも事実です。マラソンを1時間してもせいぜい500kカロリー程度ですが、普通に定食屋さんのランチで700kカロリー摂取したことになります。

 

毎日運動していても、なかなか痩せないのは運動に応じて食欲がわいてくるからです。結果摂取カロリーも増えるのです。

運動後は筋肉の疲労と筋細胞の破壊が起こり、そのグリコーゲンの補給と修復にカロリーが使われるのです。そして同時に、運動による食欲増進が起こります。これは低血糖になると体に異変が生じ、食欲が増進すると言う事です。低血糖を我慢出来たらケトン体が脳の栄養補給をするので、脳の問題は無くなりますが、低血糖では筋肉の細胞レベルでの破壊が起こります。そのため長期にわたる糖質制限では筋肉はやせ細ってゆきます。糖質制限しているとたんぱく質をとっても糖質が補給されないために、筋肉は付きにくくなります。むしろ減ってゆくでしょう。たんぱく同化作用の引き金はインスリンホルモンだからです。

 

勿論食事制限をしながら運動するのが一番のダイエット方法であり、運動だけでは逆に消費カロリーに応じて低血糖になり、筋肉細胞の破壊程度に応じてたんぱく質欠乏になります。

だからダイエットのために運動することは大切ですが、食事制限をしなければ逆に食欲が増進して止まらない状態になると考えられます。我々の遺伝子には体を飢餓から守るための強力な生き残り遺伝子があり、そのため食欲のコントロールには意志の力がないと対抗できないのです。

 

 

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https://courrier.jp/news/archives/76132/

 

体重を減らすためには、運動をするのが一番だ。そう考える人は少なくない。だか、長期的に見てもその考えは正しいのだろうか。

 

その答えを探るべく、米メディアの記者は研究論文を読み漁り、専門家の話を聞いてまわった。そこで突き止めた事実とは。

 

「みんな、頑張って!」と、ジムのインストラクターが叫ぶ。見事に鍛え抜かれた体つきの金髪女性だ。

 

「頑張れば、ハッピーアワーで2杯目を頼んでも平気よ!」

 

45分間のエクササイズが終わると、全身から汗がしたたり落ちる。ものすごく達成感がある。それに、エアロバイクによると、700kcal以上も消費したらしい。マルガリータをもう1杯頼んでもいいはずだ。

 

エアロバイクやトレッドミルに乗りさえすれば、好きなように飲み食いしても痩せられる──。昔から私たちは、あの金髪のインストラクターと同じ言葉を繰り返し聞かされてきた。

 

カリスマ・インストラクターやセレブたち、コカ・コーラ社などの食品飲料メーカー、さらには公衆衛生局や医療業界、大統領夫人でさえ、同じメッセージを発信してきた。この約束があるからこそ、ジムに入会したり、健康管理デバイスを使ってみたり、スポーツドリンクやエクササイズのビデオを購入したりする人がいるわけだ。

 

だが、ここには落とし穴がある。このメッセージは間違っているうえに、肥満と闘う人々を惑わせてしまっているのだ。

 

その原因を探るため、「運動と減量の関係」を論じた60件以上の研究論文を読破し、運動や栄養、肥満を専門とする一流の研究者9人を取材した。その結果としてわかった10の事実を紹介しよう。

 

事実1 カロリー消費機能は、進化とともに発達してきた

 

人類学を専門とするニューヨーク市立大学ハンター校のハーマン・ポンツァー准教授は、調査のためにタンザニアへ赴いた当初、ハッザ族は日々カロリーを大量に消費しているはずだと予想していた。というのも彼らは、地球上に残存する数少ない狩猟採集民だからだ。

 

欧米では、起きている時間の大半を椅子に座って過ごすのが普通になっているが、ハッザ族は絶えず動いている。男たちはたいてい狩りに出かけ、動物を追いかけては仕留め、木に登ってハチミツを集める。

 

一方で、女たちは食べられる植物を探し求め、根菜を掘り起こし、茂みの中から木の実を見つける。「これまで研究されたどの集団と比べても、運動量が非常に多い」とポンツァーは話す。

 

過去50年で現代人の体重がここまで増えた理由のひとつは、祖先に比べて体を動かさなくなったからだと考えられてきた。それを裏づける証拠が、ハッザ族の生活スタイルを調査すれば見つかるのではないか──そうポンツァーは考えた。

 

ハッザ族は典型的な欧米の現代人に比べ、平均カロリー消費量が格段に多いに違いない。私たちの体がここまでだらしなくなってしまった理由を教えてくれるはずだ。

 

そう考えた彼は同僚たちとともに、2009年と2010年に数回タンザニアを訪れた。キャンピング・グッズ、太陽光パネル、尿のサンプルを凍らせるための液体窒素、呼吸計測器などをランドローバーに詰め込み、サバンナのど真ん中に乗り込んでいった。

 

広大な砂漠で、ハッザ族の家族をいくつか見つけ、調査させてもらった。そして11日間かけて、1875歳の男性13人、女性17人の運動量とエネルギー消費量を記録した。使用したのは「二重標識水」で、これは人間がエネルギーを消費するときに吐き出す二酸化炭素を計測するベストの方法だ。

 

得られたデータを集計すると、驚くべき事実がわかった。ポンツァーは言う。

 

「予想に反して、ハッザ族のエネルギー消費量は、米国やヨーロッパの人々とさほど変わらなかったのです」

 

彼は2012年に調査結果を科学雑誌「プロス・ワン」に掲載した。ハッザ族は運動量が多く、体は引き締まっていたが、体格の違いを考慮しても、毎日のカロリー消費量は米国やヨーロッパの平均と変わらなかった。

 

もちろん、ポンツァーの研究は予備調査に過ぎず、不完全だ。調査対象も、ひとつの小さなコミュニティに属するわずか30人に限定されている。

 

だが、ここから興味深い問いが浮かび上がった。狩猟採集民のハッザ族が消費するカロリーが、怠惰な欧米人と同じとはどういうことなのか。ポンツァーは自分の調査結果を吟味するうちに、次のように考えるようになった。

 

まず、エネルギー消費量、つまり日々の消費カロリーというのは、体を動かすためのエネルギーだけではなく、生きるために必要とされる無数の生命活動のためのエネルギーも含む。これは以前からわかっていたことだが、世界の肥満問題と結びつけて考える人はあまりいなかった。

 

また、カロリー消費というのは、人間の進化とともに発達した機能であり、生活スタイルとはあまり関係がない可能性がある。もしかすると、ハッザ族はほかのタスクでエネルギーを節約しているため、欧米人とエネルギー消費量が同じなのではないか、とポンツァーは考えた。

 

さらに、ハッザ族は狩猟や採集をしていないとき、肉体労働の疲れをとるためにたっぷり休憩しているから全体のエネルギー消費量が低いとも考えられた。

 

この研究はまだ発展途上かもしれないが、考えるきっかけにはなる。エネルギー消費というのは人間に深く植え付けられた機能であり、運動量を増やしたところで大きく変えることができないのではないか、と。

 

では、カロリー消費量があまり増やせないとすれば、ハッザ族より欧米人のほうが太っているのはなぜか。ポンツァーはこう話す。

 

「ハッザ族は欧米人と比べ、エネルギー消費量は変わらなくても、肥満度は低い。食べ過ぎたりしないので、太ることがないからだ」

 

これは、研究者たちが何年も調査を重ねている現象と関係しているかもしれない。それは、いったん増えてしまった体重を運動によって落とすのは非常に難しいということだ。

 

事実2 でも、運動は健康に良いことだらけ

 

運動してもなかなか痩せない理由を探る前に、はっきりさせておきたいことがある。運動にはウエストを細くする効果がなくても、心身に良い効果があるということだ。

 

医療評価データベース「コクラン・レビュー」によると、運動しても体重は少ししか減らないものの、運動量を増やした調査対象者には、食事を変えなかったとしてもさまざまな改善がみられる。

 

具体的には、血圧や血中の中性脂肪が低下するほか、2型糖尿病や脳卒中、心臓発作のリスクが軽減されるという。さらに、運動する人は、アルツハイマー病や認知症など認識機能障害のリスクも低く、認識能力検査のスコアも高い。

 

カロリー摂取量に気をつければ、運動は減らした体重をキープするのにも有効だ。要するに、運動はあらゆる面で健康を改善する魔法の薬なのだ。

 

事実3 運動だけでは体重はほとんど減らない

 

運動にメリットがあるのは間違いない。ただ、トレッドミルのおかげで大幅に減量したという成功談には事欠かないものの、実際の数字を見ると、そこまでうまくいくとは限らないようだ。

 

2001年に発表されたある研究のレビューに注目してみよう。そのレビューによると、減量のために運動しても、20週間以上経過すると効果は予想を下回るという。「長期の研究では、運動によるエネルギー消費と減量には相関関係がみられない」と述べられている。

 

運動と減量の関係を探るため、研究者たちはさまざまな人々を調査してきた。マラソンに出場するためにトレーニングしている人、普段あまり運動をしない若い双子、過体重または肥満と診断されている閉経後の女性などを集め、ランニングやサイクリング、パーソナルトレーニングなどで運動をしてもらう。

 

こうした調査では、たいていの人は数ポンドでも痩せられればいいほうだ。厳密に食事の量を一定に保った実験でも同様だった。

 

これまで私たちは、減量といえば「摂取カロリー」と「消費カロリー」という枠組みにとらわれてきた。1958年にマックス・ウィシュノフスキーが発表した研究は、人間の脂肪1ポンド(約450グラム)はおよそ3500kcalに相当する、という基準を定めた。

 

つまり、

 

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