オメガ3系脂肪酸(EPADHA)が乳がん患者での免疫調節と抗炎症作用を示す

 

オメガ3油の一番の働きは抗炎症作用である。がん治療において炎症反応は癌の増大、進行を助ける大きな反応だ。この反応を止めるためにNSAIDの中でもCOX2阻害薬を使うのだが、天然物質ではオメガ3油が使われる。

炎症が起きているかどうかはCRPなどの検査で分からないこともある。遺伝子検査を行えば炎症反応に反応する遺伝子が活性化しているかどうかがわかるので是非受けられたらいい。そして。もしその遺伝子が活性化していた場合にはNSAIDとオメガ3油を使用することをためらってはならない。

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今月の栄養学の専門ジャーナルに、乳がん患者において、オメガ3系必須脂肪酸(EPADHA)サプリメントによる免疫関連指標への作用を調べた臨床研究が、ブラジルのグループ(University of Brasília)から報告されていました。(Nutr J. 2017 Oct 23;16(1):71.)

 

EPADHAなどのオメガ3系必須脂肪酸は、抗炎症作用・動脈硬化予防作用、認知機能改善作用、抗うつ作用など多彩な働きが示されています。 また、オメガ3系必須脂肪酸(EPA/DHA)による乳がん予防効果 というレビューも報告されています。

今回の研究では、乳がん患者において、EPADHA投与による免疫関連指標への作用が検証されました。 具体的には、新規に診断され、化学療法未治療の乳がん患者を対象に、ランダム化二重盲検比較試験として、・魚油サプリメント(オメガ3系必須脂肪酸1.8グラム/)投与群:23名、・偽薬(ミネラルオイル)投与群:22名の2群について、30日間の投与が行われ、体組成、血中脂肪酸および免疫関連指標が検証されました。 魚油投与群18名、偽薬群19名が解析の対象となりました。

解析の結果、まず、体組成や体重に関しては、介入後の両群間で有意差は認められませんでした。 次に、血中脂質では、魚油サプリメント投与群において、 EPA (p = 0.004), DHA (p = 0.007)の有意な上昇が見出されました。

また、免疫関連指標では、末梢血でのCD4+ Tリンパ球の割合、および 炎症マーカーの血中hs-CRP値に関して、魚油サプリメント投与群では有意な変化なく維持されていたのに対して、 偽薬投与群では、hsCRP値の有意な上昇が認められたということです。(p = 0.024) また、偽薬群では、CD4+ Tリンパ球の割合が有意に減少しました。(p = 0.042) なお、炎症惹起サイトカイン類やプロスタグランジンE2には変化は認められませんでした。

以上のデータから、乳がん患者において、EPADHAの魚油サプリメント投与による免疫および炎症反応に対する好影響が示唆されます。