京都新聞 11/22() 9:33配信

 

恐怖記憶は中々消せない。恐怖を思い出させる画像や音などの刺激により容易に恐怖体験がよみがえり体がすくんでしまう。これをPTSDと呼ぶ。PTSDは(post traumateic stress desease)心的外傷後ストレス障害といい、トラウマ体験(心的外傷)がストレッサー(ストレスの原因)となり心身に支障をきたして社会生活にも支障が出ることをいう。

この治療は難しく心理療法もなかなか成果を上げていない。有名な方法としてはEMDReye movement desensitization and reprocessing)眼球運動による脱感作および再処理法、という方法が有名であるがさらに踏み込んだ治療法がこれである。

臨床に応用できる気もする。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161122-00000001-kyt-sctch

災害や事故、戦争、被暴力などで脳に刻まれた「恐怖記憶」を、過去を思い出すことなく消すことに関西文化学術研究都市の国際電気通信基礎技術研究所(ATR、京都府精華町)などのグループが人の実験で成功した。完治が難しいPTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療法の開発につながる成果という。  グループは小泉愛研究員、川人光男ATR脳情報通信総合研究所所長、英ケンブリッジ大など。英科学誌「ネイチャー・ヒューマン・ビヘイビア」で22日に発表する。洗脳につながる懸念もあり、臨床研究は慎重に進めたいとしている。  川人所長らは、脳の活動状態が分かる装置(fMRI)で記憶に関わる部位の活動パターンを立体的に解析し、被験者の脳の活動が特定パターンに近づくと「報酬」として目の前に表示される円が大きくなる訓練で、意識せずに特定の脳の活動パターンを学習する手法を開発している。  実験は20代を中心に男女17人に実施。赤や緑の図形を見せながら弱い電気刺激で恐怖記憶を形成し、その色の図形を見たときに脳に生じる恐怖反応の活動パターンを記録する。その後、「円を大きくして」とだけ指示し、被験者の脳に恐怖反応と同じ活動パターンを再現させた。  被験者は、歌を思い浮かべたり、週末の行動を考えたりしながら、「円を大きくする」目標達成を繰り返した。図形を思い出すことなく恐怖記憶によるものと同じ脳の活動を続けると、恐怖反応がなくなり、その色の図形を見ても発汗しなくなった。報酬による学習に関与する脳の部位が働いた可能性があるという。  PTSD治療に恐怖を引き起こす画像をあえて見せて慣れさせる「暴露療法」があるが、恐怖に耐えられない患者や後で記憶がよみがえる場合もあった。川人所長は「暴露療法は恐怖反応を消さずに抑えるものだが、今回は恐怖反応自体がなくなった。将来の治療に役立てたい」と話している。