統合失調症は幻覚を見る疾患である。幻覚を見るだけではなくて幻覚に対する反応が社会活動ができないくらいに悪化する点が異常である疾患である。
患者さんがいうのは幻覚は自分で制御できない自然界の力のように襲ってくるらしい。襲ってくる幻覚を止めようとしても自分の力では制御できないのだ。やめてほしくても語り掛けてくる幻聴、目をつむっても視覚野に湧き上がる幻視である。これはまさしく恐怖だろう。その結果彼らは社会生活を送れなくなる。

通常意外なことだが、幻覚を見る人は沢山いる。恐山のイタコもそうだし、宗教界にはそんな人がたくさんいる。ではそんな人の脳内でも同じような反応が起きているのだろうか?

通常イタコと呼ばれる人や霊が見えるという人は周りにいてもその方を統合失調症とは言わない。統合失調の患者さんは幻覚を制御できないために恐怖を強く感じ、社会生活に支障が出ている。イタコは幻覚を制御できると言う事か?するとイタコは自分の思い通りに幻覚を見ているのでこれは幻覚ではないと言う事である。

幻覚を見て制御できる人はある意味じぶんで幻覚を見たり消したりしているのだろう。それは医学的には制御する幻覚であるから、幻覚というよりも思い込みの一種かもしれない。

ここでいう頭頂部と後頭部の障害があればそれぞれ失認失行、視覚異常が出ることがわかっている。

失認失行は半空間失認や半側身体失認、ゲルストマン症候群といって失書、失算、手指失認などの失認が出る。また、観念失行と観念運動失行などが生じる。これらはまさに幻覚、幻視とその観念失行による障害を表現しているのだと思われる。

宗教儀式の目的の一つは幻覚を見ることである。集団的に幻覚を見ることもある。

瞑想や儀式の最中に変性意識に入り正常意識を失い、幻覚を見るのである。そこで幻覚を見て涅槃が見えた、とかイエスのお告げを聞いたという事になるのである。しかし、こうした宗教儀式では正常意識に戻り変性意識は続かない。続いたままでは日常生活が送れないからである。つまり、失認失行がないという事は脳が異常興奮を起こしていないという事である。それは幻覚を見たという事自体が「まぼろし」だということであろう。

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<統合失調症>fMRIでわかる 研究者ら、客観的診断へ道

毎日新聞 7月28日(火)13時17分配信

 

情報通信研究機構脳情報通信融合研究センター(大阪府吹田市)の下川哲也・主任研究員(応用数学)と大阪大の橋本亮太准教授(精神医学)らのグループが機能的磁気共鳴画像化装置(fMRI)を使って脳全体の活動を画像化し、統合失調症患者と健常者を比較する手法を開発したと28日、発表した。下川主任研究員は「多くの臨床例を合わせて分析を進め、医師の診断を支援する自動診断システムを構築したい」としている。  統合失調症は幻覚や妄想などの症状が出る精神疾患で、100人に1人の割合で発症すると言われる。検査による客観的な診断が難しく、医師の問診によって診断している。  下川主任研究員らは、fMRIを使って、脳全体を約90カ所の領域に分けて活動状況の波形を5分間計測。各領域の波形を5種類に分類し、似ている波形の領域同士を同じ色にして画像化した。  健常者と統合失調症患者の男女各37人の脳の画像を比較した結果、健常者は頭頂部と後頭部が同じ色になるが、患者は違う色になるなど、健常者と患者で差が出た。  更に、別の36人の健常者と患者で検証しても同様の結果となった。健常者同士や患者同士の画像は85%以上が一致したが、健常者と患者では一致は75%以下だった。  近年、fMRIを使った解析が進んでいるが、これまでは脳の特定の部位に注目していた。今回は、脳の各部位が連携して働いていることに着目し、脳全体の活動を計測した。【吉田卓矢】