ビタミンDには炎症や免疫調整作用があり、関節リウマチの症状を改善することが分かった。ほかにも抗がん作用もあり副作用もこれと言ったものがなく使いやすいサプリメントだと言える。

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今月の臨床リウマチ学の専門ジャーナルに、ビタミンDと、関節リウマチの症状との関連を調べた研究が、ポーランドのグループ(Military Institute of Medicine, Warsaw)から報告されていました。(J Clin Rheumatol. 2015 Apr;21(3):126-30.) ビタミンDは、免疫調節作用や抗炎症作用を有しており、健康保持や疾病予防に重要な役割を果たしています。 現在、多くの生活習慣病や慢性消耗性疾患において、ビタミンD不足が見出されており、ビタミンDサプリメントの利用が推奨されています。(この場合の摂取量は、単に欠乏症を防ぐための量ではなくて、ある程度の用量を想定しています。具体的には1日あたり1,000 IU~4,000 IUあたりです。) さて、今回の研究では、慢性リウマチ患者において、ビタミンD値と、疾患の活動度やQOL(生活の質)との関連が調べられました。 具体的には、ビタミンD投与を受けていない、リウマチ患者97名(女性86名、男性11名、平均年齢59.4歳)を対象に、血中ビタミンD値(25(OH)D)、カルシウム、リン、副甲状腺ホルモン値が測定されています。 QOLには、SF-36, Beck Depression Inventory, Health Assessment Questionnaire が用いられ、疼痛や疲労の程度が評価されました。 疾患の活動度には、Disease Activity Score in 28 Jointsが用いられています。 対照群は、骨関節炎患者28名(女性25名、男性3名、平均年齢56.2歳)です。 解析の結果、ビタミンD欠乏が、関節リウマチ患者の76.3%、骨関節炎患者の78.6%に見出されました。(P = 0.75) 関節リウマチ患者において、疾患の活動度と、血中ビタミンD値との間に有意な負の相関が見出されました。 また、血中ビタミンD値が高いと、SF-36でのQOLが高いという相関も示されています。 さらに、QOLの指標である、

Health Assessment Questionnaire とBeck Depression Inventoryについては、 疾患の罹病期間が1年以上の群において、有意な負の相関が見出されています。 身体活動などの交絡因子を考慮した多変量解析後では、血中ビタミンD値と、SF-36のメンタルサブスケールおよび疼痛との関連が有意でした。 以上のデータから、関節リウマチ患者ではビタミンD不足が高頻度に認められること、 ビタミンDが低いと、疾患の活動度が高く、QOL(生活の質)が低下していること、 さらに、ビタミンDの高値および定期的な身体活動/運動習慣)と、よりよりQOLとの関連が示唆されます。 今後、ビタミンD3サプリメント投与による介入により、患者指向のアウトカムの改善の評価などによる臨床的意義の検証が期待される分野です。 近年、ビタミンDは、骨の健康維持だけではなく、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な効果が示されています。 一般に、健康保持や疾病予防、ヘルシーエイジングを目的としたビタミンD3サプリメントは、1日あたり25マイクログラム(1,000 IU)から、50マイクログラム(2,000 IU)が推奨されます ビタミンD3サプリメントは、安全性、有効性、経済性に優れていますので、健康保持や疾病予防、あるいは多くの疾患での栄養状態を改善する前提条件に、ベーシックサプリメントとして広く利用されることが推奨できます。 多くの生活習慣病や慢性疾患、難治性疾患の患者群において、ビタミンD低値が示されており、ビタミンDサプリメントの臨床的意義が注目されています。 米国での関連学会は、下記の推奨をしています。 米国老年医学会は、1日あたり4,000 IUを推奨 米国老年医学会(AGS)では、高齢者における転倒や骨折を予防するために、血中ビタミンD値(25OH-D)が30 ng/mL (75 nmol/L)は必要としています。 そして、ビタミンDの推奨量は、1日あたり4,000 IUとしています。 (これは、食事、サプリメント、日光暴露による総量です。 なお、この量は、現実的には食事のみからでは不可能であるため、サプリメントを利用することになります。) 米国内分泌学会は、1日あたり1,500 IU~2,000 IUを推奨 米国内分泌学会のガイドラインでは、1日あたりの所要を男女とも年齢によって、次の3段階に分けています。 1歳未満の乳児は400~1,000 IU、 1歳~18歳では600~1,000 IU、 19歳以上では1,500 IU~2,000 IU サプリメントでは、ビタミンD3が用いられます。 日本からの報告では、 ビタミンDサプリメントのインフルエンザ予防効果 が知られています。 また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。 (欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000~2,000IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。) 今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。 日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。 たとえば、 日本人妊婦の90%がビタミンD不足血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低い というデータがあります。 DHCでは、ビタミンD3サプリメントを製品化しています。 ビタミンDサプリメントに対する効果には個人差がありますが、臨床的には、ビタミンDサプリメントを1,000 IU/日の用量で投与すると、血中25ヒドロキシビタミンD値が10ng/mL増加する、という報告もあります。 マルチビタミンのビタミンDはRDAのための設定ですので、別途、ビタミンDサプリメントの利用となります。