肥満の関連遺伝子検査を受けて、アドバイスを受けたらダイエットの効果が持続したというお話です。自分を知ることはとても大切で、自分がおかしいことをしている。普通ではない考え方をしているということが解ると、人間はそれを修正しようとします。

しかし、ダイエットでも考え方でも困ったことに一部には自分が間違っているとは考えられない人がいます。統計的にはこれらの人々は効果がなかった群に入りますが、自覚がないためにアドバイスが無効な人たちです。

ダイエットに関してもその他の病気に関しても生活習慣、考え方の習慣が健康に多大な影響を与えます。患者さんにはアドバイスを素直に謙虚に聞いていただくことも大切だと思われます。

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肥満関連遺伝子変異の情報に基づいたカロリー制限食によって,リバウンド予防効果を示したという米国での臨床研究データを読んでいました。(Nutr J. 2007 Oct 18;6:29.) 肥満をはじめとする生活習慣病では,それらの疾患にかかりやすい人とそうでない人がいます。

これは,体質であり,いいかえれば,遺伝子に存在する個人差,遺伝子変異ということになります。 一方,遺伝子の発現には環境が関与することから,自分の体質,病気に対するリスクをあらかじめ知ることで,その体質に応じた生活習慣を持つことで,健康増進や疾病予防になると考えられます。 さて,今回の研究では,遺伝子情報に基づく食事療法による減量体重の維持,リバウンド予防の効果が検証されました。 具体的には,減量に成功しなかった既往を有する肥満者50名を対象に, ニュートリジェネティックテストとして,(疾患感受性の遺伝子変異検査) 代謝に関連する19遺伝子の24の変異がスクリーニングされ, 対照群として,肥満者43名が,年齢や性別,試験開始時のBMI,クリニック訪問の回数などを一致させ,フォローアップされました。 (この対照群では,遺伝子検査は行われていません。) アウトカムとして,100日後および300日以上を経た時点での,BMIと空腹時血糖値が測定されました。 解析の結果,300日以上のフォローアップの時点で,減量した体重を維持できていた被験者の割合は, 対照群では32%であったのに対して,ニュートリゲノミックス・栄養ゲノム情報介入群では73%に達していました。(OR 5.74, 95% CI 1.74-22.52) BMIの低下は,栄養ゲノム情報介入群では,1.93 kg/m2(5.6%)でした。 一方,対照群では,BMIが0.51 kg/m2(2.2%)増加していました。(p < 0.023) また,試験開始時の空腹時血糖値が100mg/dLを超えていた被験者のうち,減量介入の90日以上を経た時点において,100mg/dL未満に低下(改善)した被験者の割合は,対照群では25%(4/16)であったのに対して,栄養ゲノム情報介入群では57% (17/30)でした。 (OR 1.98, 95%CI 1.01, 3.87, p < 0.046) 以上のデータから,肥満関連遺伝子変異検査の結果に基づくライフスタイルへの介入(食事療法など)は, 遺伝子検査を行わない場合と比べて,減量効果の維持,リバウンド予防,空腹時血糖値の改善に有用であると考えられます。