2013年の論文からですが、1日に肉を100g以上取る方は死亡率が上昇すると思ってよいようです。
タンパク質源としては良好な食材ですが、タンパク質の適正な必要量は体重1kgあたり1gから1.6g程度までであり、体重70kgの男性がタンパク質を1日100g以上取ると過剰摂取ということになります。
肉類の過剰摂取は癌の発生、増殖に関連しておりすすめられません。
肉類ではない植物性タンパク質が最も安全であり、推奨されます。植物性たんぱくでも必須アミノ酸をすべて摂取することは可能であり、ダイズや穀物、果物の複数種類の摂取で問題ありません。
癌の発生と癌による死亡率が増え続けている今、あえて肉食を推奨する必要はないと言えます。
*******************
http://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2013-03-12
今年のBMC Medicine誌に掲載された、
肉食とその弊害についての疫学データの文献です。

動物の肉は人間の蛋白源として、
重要な役割を占めていて、
多くの人が好む食品でもあります。

その一方で菜食主義者という方がいらっしゃるように、
肉食を好まない人もいます。

肉食が特に摂り過ぎた場合、
健康にとって害があるのではないか、
という考え方は以前からあり、
糖尿病や心筋梗塞、一部の癌の発症率を増加させる、
というようなデータが報告されています。

ただ、
そのリスクの上昇は、
概ね軽度なものに留まっていましたし、
肉は蛋白質ばかりではなく、
脂肪も豊富に含まれていますから、
この現象は高脂肪食の弊害として、
考えることも出来るのです。

2009年にアメリカで、
43000人弱の男性と23000人余の女性を、
10年間観察した大規模な疫学データが発表されました。

それによると、
赤身肉(牛肉や羊肉など)を多く食べている人は、
少ない人と比較して、
総死亡のリスクが1.31倍に上昇し、
ソーセージのような加工肉を多く食べている人は、
1.36倍に上昇した、
という結果でした。

癌による死亡リスクや心筋梗塞の死亡リスクについても、
概ね同様の傾向が認められました。

更に昨年のArch Intern Med.誌にも、
ハーバード大学の研究チームによる、
同様の研究が発表されています。
これは男性と女性の2つの疫学研究のデータを、
併せて解析したもので、
トータルな人数は男性が37000人余で、
女性が83000人余です。

1日1回赤身の肉を食べることにより、
総死亡のリスクが1.13倍に上昇し、
ソーセージなどの加工肉を1回食べることにより、
1.2倍に上昇するという、
解析方法は違うので、
同列での比較は難しいのですが、
同様の傾向が認められています。
心筋梗塞や脳卒中の死亡リスクや、
癌の死亡リスクについても、
そのリスク上昇は僅かですが、
同様の傾向は認められています。

ここまではアメリカの結果です。

日本のデータは2012年のEur J Clin Nutr 誌に掲載されています。

これは51000人余の日本人のデータを解析したものですが、
これによると日本人においては、
1日平均で100グラム程度までの肉食での、
死亡リスクの上昇は認められない、
という結果でした。

今回のデータは今度はヨーロッパのもので、
トータルな人数は45万人弱ですから、
間違いなくこれまでで最も規模の大きなものです。

その結果、
赤身の肉を1日平均で160グラム以上多く摂る人は、
殆ど摂らない人と比較して、
総死亡リスクが1.14倍上昇していました。
この赤身肉は加工肉を併せたものですが、
これをソーセージのような加工肉のみで解析すると、
今度は総死亡リスクが1.44倍と、
より高い結果になり、
加工肉を除外した赤身肉では、
総死亡リスクの有意な上昇はありませんでした。