癌患者さんに勧めるサプリメントはビタミンC、D、マルチビタミンミネラル、そして、ケルセチン、レズベラトロール、そしてイソフラボンである。
いろんなサプリメントが癌の発生抑制、また治療効果を持つのだが植物の中でもそういった作用を持つ者は限られているようで、上記のサプリメントがいつも顔を出している。

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今月の栄養学の専門ジャーナルに、レスベラトロールの摂取と食道がんリスク低下との関連を示した疫学研究が、スウェーデンのグループ(Karolinska Institutet)から報告されていました。
(Br J Nutr. 2014 Oct 27:1-8.)

食事からのリグナン類、ケルセチン、レスベラトロールは、基礎研究においてがんリスク低下作用が示されています。
また、ヒト研究では、リグナン類による食道がんリスク低下作用が見出されています。

そこで今回の研究では、これらの3種類のファイトケミカルによる食道がんリスクへの影響が検証されました。
具体的には、スウェーデンにおいて、症例対照研究として、
食道腺がん患者181名、
食道扁平上皮がん患者158名、
食道胃接合部腺がん患者255名、
対照群806名を対象に、対面のインタビュー形式で食事調査が行われ、リグナン類、ケルセチン、レスベラトロールの摂取量が推計され、摂取量の5分位によりがんリスクとの関係が調べられています。

解析の結果、食事からのリグナン類、ケルセチン、レスベラトロールの摂取量は、
茶、ワイン、レタス、ミックス野菜、トマト、全粒パンの摂取量が多いこと、牛乳の摂取量が少ないこと
と相関していました。

食道がんの全タイプと、食事由来因子との間に有意な相関が見出されたということです。
5分位で最高群は、最低群に比べて、
食道腺がんは76%のリスク低下、(OR 0・24 (95 % CI 0・12, 0・49))
食道扁平上皮がんは69%のリスク低下、(OR0・31 (95 % CI 0・15, 0・65))
食道胃接合部腺がんは51%のリスク低下(OR 0・49 (95 % CI 0・28, 0・84) )
という相関が認められました。

以上のデータから、リグナン類、ケルセチン、レスベラトロールといったファイトケミカルの摂取による食道がんリスク低下作用が示唆されます。
レスベラトロールは、ポリフェノールの1種で、赤ワインやブドウ、ピーナッツなどに見出される色素成分です。

レスベラトロールは、長寿関連遺伝子の1つであるサーチュイン遺伝子の活性化を介して、抗加齢効果があるのでは、と期待されています。

長寿になるかどうかを確認するためのヒト臨床試験は容易ではありませんが、
最近の臨床研究では、内分泌代謝疾患や生活習慣病の改善効果が示唆されています。

現在、レスベラトロールは、抗酸化作用や抗炎症作用を有し、代謝に好影響を及ぼすことから、健康維持や生活習慣病予防から抗加齢の分野で注目されています。

例えば、基礎研究では、
レスベラトロールによるインスリン抵抗性改善作用
レスベラトロールによる糖尿病予防
レスベラトロールによる糖代謝改善作用
レスベラトロールの心不全リスク低減作用

レスベラトロールによる肥満予防のメカニズム
レスベラトロールによる抗がん作用
レスベラトロールによる大腸がん抑制作用
レスベラトロールの抗炎症作用

動脈硬化抑制作用
という報告があり、
ヒト臨床研究では、

レスベラトロールによる肥満者での代謝改善
レスベラトロールによる糖尿病改善作用
レスベラトロールによる脳循環改善

子宮内膜症関連痛に対するレスベラトロールの効果
レスベラトロールによる運動効果@2型糖尿病患者
という報告が知られています。