こんな結果が出てきたら、お酒好きとしてはここぞとばかりに飲酒を合理化しそうですね。
お酒の摂取量が一定していることが多くの人にとっては難しいことだと思われます。徐々に飲酒量が増えてゆき、止まらなくなり気が付いたら毎日ビールを350ml*4本とか、ビールの後に焼酎3杯とか、そんな患者さんが多くおられます。
 一日ワイン2杯、ビール350*2本程度に抑えることができれば素晴らしいデータだと言えます。
 ただし、お酒に頼らずにストレスを緩和できればそれに越したことはないと言えます。
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循環器学の専門ジャーナルに、ワインやビールの摂取と、腹部大動脈瘤リスクとの間に負の相関があるという疫学研究が、スウェーデンのグループ(Karolinska Institutet)から報告されていました。
(Circulation. 2014 Aug 19;130(8):646-52)

適度な飲酒は、健康維持に有用であるとされており、1日1~2杯の赤ワインの摂取は、ブドウ由来ポリフェノールによる抗酸化作用や抗炎症作用を介した動脈硬化リスクの低下などが知られています。
今回の研究では、アルコールの摂取量や種類と、腹部大動脈瘤リスクとの関係が検証されました。

具体的には、1998年の時点で、46歳から84歳までの男性44,715名、女性35,569名が対象となり、
(男性はCohort of Swedish Men、女性は、Swedish Mammography Cohortの被験者です。)
2011年12月までの14年間のフォローアップが行われています。
(合計1,019,954人年)

観察期間中、男性1,020名、女性194名に腹部大動脈瘤が見いだされました。
アルコール摂取量が、
1週間あたり1杯(エタノール12 g)の群に比べて、
1週間あたり10杯を摂取する男性では、20%のリスク低下が認められました。(0.80; 95% CI, 0.68-0.94)

また、女性では、1週間あたり5杯の摂取で、43%のリスク低下が見出されています。
(0.57, 95% CI; 0.40-0.82)

最もよく摂取されていたアルコールは、男性ではビール、女性ではワインであり、腹部大動脈瘤リスクと負の相関が認められています。一方、蒸留酒では相関は認められませんでした。

以上のデータから、適度なアルコールの摂取、特にワインやビールの摂取と、腹部大動脈瘤リスクとの間に負の相関が示唆されます。
因果関係は明確ではありませんが、興味深いデータです。