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http://www.dhcblog.com/kamohara/
高齢者こそ肉を?!というタイトルで、
頓珍漢な内容の番組を公共放送が流していました。
内容は、旧東京都老人研のデータに基づいた、高齢者での低アルブミン血症と栄養障害という、いつもの話です。

アンチエイジング(抗加齢)やヘルシーエイジング(健康長寿)のためには、

・緩やかな糖質制限食、
・オリーブオイル・野菜・豆類・魚類の豊富な地中海食
・オメガ3系脂肪酸の豊富な魚類、
が基本であり、機能性食品・サプリメントも必要でしょう。

タンパク源が必要なら、プロティンダイエットのようなフォーミュラ食が簡便で確実です。
DHCプロティンダイエットであれば、ビタミン・ミネラル・コエンザイムQ10・ポリフェノールなどの機能性食品素材も含まれています。)

さらに、畜産の摂取を減らすのは、地球環境への負荷軽減というエコロジーの視点からも維持されています。
1992年に米国農務省が示した食事ガイドラインのフードガイドピラミッドでは、畜産品の摂取量が以上に多く推奨されていました。
そして、これは、畜産業界からの働きかけの結果であることは研究者の間ではよく知られています。

多様な食生活があって当然ですし、個人の好みや信条による食養生、
各自の体質や疾病リスクに応じて個別化された栄養学に基づいた食事指導が望まれます。

NHKの番組が、あまりに時代錯誤で、誤解を招きやすい構成であり、驚いてしまいました。

さて、今日の私のお勉強ブログです。

今月の栄養学研究の専門ジャーナルに、スタチン剤(脂質異常症治療薬)の服用者において、炭水化物制限食(低炭水化物食)による糖代謝と血圧の改善効果を示した臨床研究が、米国のグループ(University of Connecticut)から報告されていました。(Nutr Res. 2013 Nov;33(11):905-12.)

近年、糖質制限食/低炭水化物食/ローカーボ食による肥満改善効果や糖尿病での血糖コントロール改善効果が注目されており、多くの臨床研究によるエビデンスの構築が行われています。
一方、日本の「食事バランスガイド」では、ごはん・お米の主食が一番大きなポーションを占めています。

これは、農林水産省が作成した食事ガイドラインなので、ごはん・お米を推奨してしまうのは、利害関係上、やむを得ないのでしょう。
アンチエイジング医学や最新の内分泌代謝病学の研究では、適切な糖質制限食による医学的効果のエビデンスはすでに構築されています。

(なお、糖質制限反対派の人たちは、栄養学的に明らかに不適切な糖質制限食、例えば、ステーキ・焼き肉食べ放題は長期的によくない、動物性脂質の摂りすぎは動脈硬化をもたらすなど、極端に間違った例を挙げて、糖質制限食すべてが間違っているかのような意見を述べています。)

今回の研究では脂質異常症(高脂血症)の薬として広く利用されているスタチン剤を服用している患者に対して、炭水化物制限食による血管内皮機能への影響が調べられました。

スタチンには、多面的作用があり、LDL(悪玉)コレステロール合成阻害作用を介してLDLを低下させる他、
炎症の改善や血管内皮機能の改善などが知られています。
今回の研究では、炭水化物制限食が、スタチンとの併用によって、これらの多面的な作用について、
相加作用を生じるかどうか、検証されました。

具体的には、スタチン服用者21名(平均年齢59.3歳, BMI 29.5)を対象に、
炭水化物の摂取量を1日あたり50グラム未満に制限した食事(糖質制限食)が6週間投与されました。
(1日あたり50グラム未満という糖質制限食の感覚ですが、

例えば、精白米ごはんの茶わん1膳に含まれる糖質は55グラム、
バナナ1本の糖質は36グラムです。)

炭水化物制限食による介入の結果、摂取総カロリー数は、6週間後の時点で415kcal、減少しました(P < .001)。
炭水化物(C) 、脂質(F)、タンパク質(P)の摂取バランス(エネルギー比)は、
試験開始時点の46/36/17%(C/F/P)から、介入期間の平均では11/58/28%となり、炭水化物の摂取量が著減しています。(P < .001)

収縮期血圧および拡張期血圧は、試験開始時に比べて、3週間後および6週間後の時点で、有意な低下(改善)が認められました。(P < .01)

上腕血流量は、投与前および3週間時に比べて、6週間の時点で有意な増加を示しました。(P &#8804; .03)

血中TG値、インスリン、可溶性Eセレクチン、ICAM-1は、
開始時に比べて、3週間の時点で、有意に低下(改善)し、6週間の時点まで持続しています。(P < .01)

以上のデータから、スタチン服用中の患者において、炭水化物制限食は、
血圧低下および血管内皮機能改善作用、脂質代謝改善(中性脂肪値の低下)をもたらすことが示唆されます。

肥満など生活習慣病の予防と改善、抗加齢・ヘルシーエイジングには、地中海食を基本とした緩やかな糖質制限が有用です。
炭水化物制限食は、結果的に高タンパク食で高脂肪食になるため、長期的な影響が明確でないとして、日本糖尿病学会から批判されています。

しかし、緩やかな炭水化物制限食をベースとして、植物性タンパク質やエクストラバージンオリーブオイルを多用する食生活であれば、長期的にも健康にいい影響が期待できます。
最近のエビデンスとして、次のような報告があります。

低炭水化物食による減量と脂質代謝改善効果
(タンパク質は魚類や大豆を中心にし、獣肉類の摂取は避けましょう。
また、オメガ6系の脂質も推奨できません。

欧米の臨床試験では、好ましくない種類のたんぱく質や脂質を過剰に摂取したことによるネガティブな影響を示したものがあります。
したがって、それらを偏重して取り上げて、炭水化物制限食がすべて間違っているかのような説明は適切ではありません。)

結局のところ、唯一無二の正しい食事療法があるわけではなく、個人の体質やライフスタイル、嗜好に合わせて、かつ、適宜組み合わせて、適切な食事療法を継続することが大切です。
今回の研究からも明らかですが、緩やかな糖質制限食をベースにした地中海食は、一番エビデンスがあると思います。

DHC赤沢温泉郷では、和食ベースの糖質制限食を提供しています。
(例えば、赤沢日帰り温泉では「糖質制限定食 5種」などがあります。)
また、DHCでは、ポリフェノールが豊富で機能性が示されているエクストラバージンオリーブオイルを取り扱っています。