エクストラバージンオリーブオイルによるアロマターゼ阻害活性・乳がん抑制作用

 

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今月の食物化学の専門ジャーナル(電子版)に、エクストラバージンオリーブオイルによるアロマターゼ阻害作用を介した乳がん細胞増殖抑制効果を示した基礎研究が報告されていました。
(Food Chem Toxicol. 2013 Oct 23.)

乳がんは、女性ホルモンのエストロゲンに依存して増殖するホルモン依存性の悪性腫瘍です。
閉経前は、卵巣からのエストロゲン分泌が影響します。
閉経後は、卵巣由来のエストロゲンがなくなる代わりに、副腎由来のアンドロゲンがアロマターゼという酵素によってエストロゲンに転換されます。

そこで、閉経後の乳がん治療では、アロマターゼ阻害剤が用いられています。
さて、今回の研究では、オリーブオイルによる乳がん細胞への作用が検証されました。
具体的には、乳がん細胞系(エストロエゲン陽性MCF-7細胞)を用いて、
エクストラバージンオリーブオイルによるアロマターゼ阻害剤(医薬品のレトロゾールとアナストロゾール)への働きが調べられています。

解析の結果、エクストラバージンオリーブオイルとアロマターゼ阻害剤との併用によって、
細胞増殖の抑制とアポトーシスの誘導が認められました。
また、細胞内GSH値の減少、細胞質シトクロムc値の増加も見出されています。

さらに、レトロゾールとアナストロゾールによるエストロゲン抑制効果/アロマターゼ阻害効果は、
エクストラバージンオリーブオイルの併用によって亢進しています。

以上のデータから、エストロゲン受容体陽性乳がん細胞に対して、エクストラバージンオリーブは、アロマターゼ阻害剤との併用時に、シトクロムcの動員によるアポトーシスの誘導などによって乳がん細胞増殖抑制作用を亢進すると考えられます。

今後、臨床的意義の検証が期待される分野です。
オリーブオイルは、単価不飽和脂肪酸というだけではなく、最近の研究では、エクストラヴァージン(バージン)オリーブオイルに含まれるファイトケミカル・ポリフェノールによる抗酸化作用の有効性も示されています。

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