魚油サプリメントの抗炎症作用@大腸がん患者

これからさまざまなガンに対して炎症が治まる反応が起きることが証明させるだろう。

食生活や食事の内容によって知らず知らずのうちに体は反応している。

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脂質研究の専門ジャーナル(電子版)に、大腸がん患者における魚油サプリメントの抗炎症作用を示した臨床研究が報告されていました。(Lipids. 2013 Jul 26.)

EPADHAなどのオメガ3系必須脂肪酸は、抗炎症作用・動脈硬化予防作用、認知機能改善作用、抗うつ作用など多彩な働きが示されています。

さて、今回の研究では、大腸がん患者における魚油サプリメント投与による抗炎症作用が検証されました。
具体的には、化学療法を受けた大腸がん患者11名を対象に、ランダム化偽薬対照試験として、
1日あたり2グラムの魚油サプリメント(600mgのEPAとDHA)投与群(n=6)、偽薬投与群(n=5)
の2群について、9週間の介入試験が行われています。

関連指標は、最初の化学療法施行の前と9週間の介入後で比較されました。
解析の結果、CRP値およびCRP/アルブミン比は、サプリメント投与群では有意な低下(抗炎症作用)が認められたということです(p < 0.05)。
この時、血中EPAおよびDHAは、それぞれ1.8倍と1.4倍に増加し、アラキドン酸は0.6倍に減少しました。(サプリメント群での投与前との比較。)(9 weeks vs. baseline, p < 0.05)

なお、血中TNF-α, IL-1β, IL-10, IL-17A値については、両群間で有意な差は認められていません。
その他、9カ月間の化学療法期間の前後で、魚油サプリメント投与群では、体重が1.2kg増加したのに対して、偽薬投与群では0.5kg減少しました。(両群間で有意差はナシ)

以上のデータから、化学療法施行中の大腸がん患者に対して、魚油サプリメント(EPA、DHA含有サプリメント)の投与は、炎症反応の抑制、体重減少の抑制効果が示唆されます。

これまでの研究によって、EPAによる悪液質の予防や改善、オメガ3系脂肪酸による抗炎症作用が知られています。
EPADHAなどのオメガ3系必須脂肪酸は、抗炎症作用・動脈硬化予防作用、認知機能改善作用、抗うつ作用など多彩な働きが示されています。

EPAやDHAといったオメガ3系脂肪酸では、抗炎症作用を介した動脈硬化抑制作用による生活習慣病予防効果が知られています。
オメガ3系脂肪酸の抗炎症作用のメカニズムとして、以前は、オメガ6系との比率からアラキドン酸カスケードへの機序が考えられていました。

現在では、これに加えて、EPAとDHAの代謝物自体に抗炎症作用があることがわかっています。
臨床研究におけるオメガ3系脂肪酸の投与量は、1日あたり数百ミリグラムから4グラム程度です。
また、EPA:DHA=2~3:1の割合です。

日本人の食事摂取基準では、EPAおよびDHAの摂取量を一グラム/日としています。
EPAもDHAも、どちらも健康維持や疾病予防に重要です。