ビタミンCとDによる気分・感情改善効果@入院患者 

ビタミンCはガン患者のQOLを高めることは以前から研究されてきていた。
QOLとはクオリテイーオブライフであり、簡単に言うと患者さんの生活の質ということである。

 

QOLがあがるということは患者さんが生活に安らかさとか、気分の良さとか、体調の良さなどを感じるということである。

同じことが通常の入院患者さんにもおきるということを発表したものだ。

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今月の臨床栄養学の専門ジャーナル(電子版)に、入院患者において、ビタミンCとDの投与による気分・感情ストレス状態の改善効果を示した臨床研究が、カナダのグループから報告されていました。
(Am J Clin Nutr. 2013 Jul 24.)

急性期の病棟入院患者では、ビタミンCやビタミンDの低値が高頻度に認められます。
(ビタミンCは抗酸化ビタミンの代表であり、病気の予防効果があります。急性期の病態では、ビタミンCが消費されます。

また、ビタミンDも多彩な機能性が見出されており、さまざまな疾患では、ビタミンDの低値が示されています。)
これらの栄養障害は、気分・感情の障害や認知機能への影響が知られています。

そこで、今回の研究では、入院患者の急性期において、ビタミンCやビタミンDサプリメントの投与が、気分・感情の状態や心理的ストレス状態に及ぼす影響が調べられました。

具体的には、ランダム化二重盲検試験として、
ビタミンC(1,000mg/日、分2)投与群、
ビタミンD(5,000IU/日)投与群について、
気分・感情(Profile of Mood States)および心理的ストレス(Distress Thermometer)への影響が測定されています。

解析の結果、平均8.2日間のビタミンCの投与によって、血中ビタミンC値は正常範囲内に上昇し(P < 0.0001)、このとき、気分障害は71%低下(P = 0.0002)し、心理的ストレスは51%低下(P = 0.0002)しました。

一方、平均8.1日間のビタミンD投与によって、血中25-OH-D値は有意に増加しました(P < 0.0001)が、正常範囲には達していません。このとき、気分(P = 0.067)および心理的ストレス(P = 0.45)に有意な変化は見出されませんでした。

気分および心理的ストレスの改善は、ビタミンDよりもビタミンC投与群において有意に大きいことが見出されています。(P = 0.045 for mood; P = 0.009 for distress)

以上のデータから、
ビタミンCやビタミンDの(潜在的)欠乏や不足が広く認められる入院患者では、
急性期にビタミンCやビタミンDの投与を行い、血中濃度を正常範囲に上昇させることで、
気分・感情、心理的ストレスの改善が期待されます。