オメガ3系脂肪酸とADHD小児の感情の関係
感情のコントロールが困難な病的疾患としてADHDがあるが、これ以外にも感情を抑えられない人はたくさんいるに違いない。
脳の健康が食品に依存すると言われたら、体全体が食品でできているのだからさもありあんと納得する。
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今月の脂質研究の専門ジャーナル(電子版)に、ADHDの感情コントロールとオメガ3系脂肪酸との関連を調べた研究が、イギリスのグループ(King's College London)から報告されていました。
(Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids. 2013 May 6)
ADHD (注意欠陥・多動性障害Attention Deficit / Hyperactivity Disorder)とは、多動性や衝動性、注意低下などを特徴とし、発達障害のひとつとされています。
(米国での罹患率は、若年者の6-9%、成人の3-5%ということです。また、若年者の罹患率は、世界的に類似した数値です。)
ADHDでは、主たる症状として、感情コントロールに乏しいことが知られています。
また、これまでの研究では、小児や青少年のADHD患者におけるオメガ3系脂肪酸低値やオメガ3系必須脂肪酸サプリメントの働きが示唆されてきました。
そこで、今回の研究では、血中のオメガ3系脂肪酸/オメガ6系脂肪酸比と感情誘発イベント(ERPs)について、ADHDと非ADHDの小児の比較が行われました。
具体的には、ADHDの小児/青少年31名と、非ADHDの32名を対象に、血中のオメガ3/オメガ6比と、タスク負荷時の感情プロセスとの関連が調べられています。
解析の結果、非ADHD小児に比べて、ADHD小児では、オメガ3/オメガ6比が低い(=オメガ3系必須脂肪酸の血中濃度が低い)と、感情コントロールに乏しいという相関が認められたということです。
また、ADHD群では、血中オメガ3系必須脂肪酸低値と、ERP異常値との間に有意な相関が見出されました。
以上のデータから、ADHD小児でオメガ3系必須脂肪酸値が低いと、感情コントロールに乏しいことが示唆されます。
今後、ADHD小児患者に、EPA・DHAのオメガ3系必須脂肪酸サプリメント投与による症状改善が見られるかどうかといった介入研究による検証が期待されます。
EPAやDHAなどのオメガ3系必須脂肪酸は、抗炎症作用・動脈硬化予防作用、認知機能改善作用、抗うつ作用など多彩な働きが示されています。
EPAやDHAといったオメガ3系脂肪酸では、抗炎症作用を介した動脈硬化抑制作用による生活習慣病予防効果が知られています。
オメガ3系脂肪酸の抗炎症作用のメカニズムとして、以前は、オメガ6系との比率からアラキドン酸カスケードへの機序が考えられていました。
現在では、これに加えて、EPAとDHAの代謝物自体に抗炎症作用があることがわかっています。
臨床研究におけるオメガ3系脂肪酸の投与量は、1日あたり数百ミリグラムから4グラム程度です。
また、EPA:DHA=2~3:1の割合です。
日本人の食事摂取基準では、EPAおよびDHAの摂取量を一グラム/日としています。
EPAもDHAも、どちらも健康維持や疾病予防に重要です。
一般に、DHAは脳の栄養素、EPAは血管の栄養素といえるでしょう。

