ビタミンCによる風邪の罹病期間短縮効果とアスリートでの風邪予防効果

ビタミンCに関してはいろんな研究があるが、研究方法によっては有意差が見出し難いケースもある。確かに効果が劇的ではなくかつ、緩徐に効果を発揮するためだ。しかし、以下のデータを見てもわかるように免疫を落としやすい生活状況下では確実に効果を発揮している。

それと大事なことは副作用が無い点だろう。これを持っても価値がるサプリメントだと考えられる。

http://www.dhcblog.com/kamohara/

コクラン共同計画レビューに、ビタミンCによる風邪の予防効果やリスク低減効果を検証した研究が報告されていました。 (Cochrane Database Syst Rev. 2013 Jan 31;1:CD000980)

これまでの研究によって、ビタミンC(アスコルビン酸)による風邪の予防(リスク低減)効果や罹病期間短縮、重症度軽減などが示唆されてきました。

一方、効果を認めなかったとする研究もあるため、ビタミンCの風邪に対する効果については70年間ほど、議論になっています。
そこで、今回の研究では、ビタミンCによる風邪の予防効果/罹患率低減効果、罹病期間や重症度への影響が調べられました。

具体的には、各種データベースが検索され、1日あたりのビタミンC投与量が0.2グラム未満の試験は除外され、偽薬対照試験となっていないものも除外されました。
[CENTRAL 2012, Issue 11, MEDLINE (1966 to November week 3, 2012), EMBASE (1990 to November 2012), CINAHL (January 2010 to November 2012), LILACS (January 2010 to November 2012) and Web of Science (January 2010 to November 2012)]

合計29試験の11,306名がメタ解析の対象となりました。
まず、一般人口である10,708名を対象にしたデータでは、3%のリスク低下傾向が示されています。
(RR0.97, 95%CI 0.94 to 1.00)

次に、5報のアスリート(マラソン選手、スキー選手、兵士)598名を対象にした解析では、
52%のリスク低下効果が見出されました。(RR 0.48, 95% CI 0.35 to 0.64)

ビタミンCの定期的な摂取による風邪の罹病期間への影響を解析したところ、
成人では、8%の罹病期間短縮効果(8%, CI 3% to 12%)
小児では、14%の罹病期間短縮効果(14%, CI 7% to 21%)
が認められました。

一日あたり1gから2gのビタミンC投与によって、小児では、18%の罹病期間短縮効果が見出されています。
定期的なビタミンCの摂取によって、風邪の重症度軽減効果も認められました。
なお、風邪の治療目的に関する臨床試験では、必ずしも一致した結果は得られていません。

以上のデータから、論文著者らは、
・一般人口を対象にした試験では、ビタミンCサプリメントによる風邪の罹患率低減効果は検出できなかった、
・ビタミンCサプリメントの投与は、身体活動を伴うアスリートでは、おそらく有用である、
・定期的なビタミンCサプリメントの摂取は、風邪の罹病期間を短縮する、
・ビタミンCサプリメント投与は安全であり安価である、
と考察しています。

一般人口を対象にしたメタ解析では、交絡因子が多いため、ビタミンCの風邪予防効果(罹患率低減効果・リスク低減効果)が検出できなかった(偽陰性)と考えられます。
サプリメント・機能性食品成分では介入の効果が小さく、作用が緩徐であるため、コクランレビューのような発想では、差異が検出できず、偽陰性となってしまいがちですが、効果がないということではありません。(効果がないかのような見出しで報道されることが多いのですが。)

ビタミンCは、ベーシックなサプリメント成分として有用ですので、マルチビタミンに加えて、ビタミンCサプリメント(1,000mg/日)を併用することが推奨されます。