ビタミンDによるインスリン抵抗性改善作用@2型糖尿病

ビタミンDはインフルエンザの予防効果、抗がん作用、免疫調整作用、など色々な効果が知られているが、糖尿病の改善作用もあることがわかった。

********************

http://www.dhcblog.com/kamohara/

糖尿病学の専門ジャーナルに、ビタミンDサプリメント投与によるインスリン抵抗性改善作用を示した臨床研究が報告されていました。(Diabetol Metab Syndr. 2013 Feb 26;5(1):8)
ビタミンDは、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な作用を有する脂溶性ビタミンの1種です。
多くの生活習慣病や慢性疾患、難治性疾患の患者群において、ビタミンD低値が示されており、ビタミンDサプリメントの臨床的意義が注目されています。

ビタミンDは、インスリン分泌やインスリン感受性にも影響を与え、耐糖能の維持に重要な働きをしていると考えられています。
そこで、今回の研究では、2型糖尿病患者において、ビタミンDサプリメントによるインスリン抵抗性への影響が検証されました。

具体的には、30-70歳の2型糖尿病患者100名(男性30名、女性70名)を対象に、
1週間あたり50,000 IUのビタミンD3が8週間投与され、
血中ビタミンD値やインスリン抵抗性が測定されています。

まず、被験者の24%がビタミンD欠乏(25(OH)D:20 ng/ml(50nmol/l)未満と定義)でした。
血中25 (OH) Dの平均値は、43.03±19.28 ng/ml (107.5±48.2nmol/l)です。

介入前後での各測定値の変化は、
空腹時血糖値:138.48±36.74から131.02±39 mg/dl (P=0.05)、
インスリン値:10.76±9.46から8.6±8.25 muIu/ml (P=0.028)、
HOMA-IR:3.57±3.18 から2.89±3.28 (P=0.008)
であり、それぞれ有意に低下(改善)しています。

以上のデータから、2型糖尿病患者におけるビタミンDサプリメントの投与は、
インスリン抵抗性・耐糖能を改善することが示唆されます。

近年、ビタミンDの機能性として、免疫調節作用や抗がん作用、インフルエンザ予防作用なども見出されてきました。
日本からの報告では、
ビタミンDサプリメントのインフルエンザ予防効果
が知られています。

また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000~2,000IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)

今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。

日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。
たとえば、日本人妊婦の90%がビタミンD不足
血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低い
というデータがあります。
DHCでは、ビタミンD3サプリメントを製品化しています。

ビタミンDサプリメントに対する効果には個人差がありますが、
臨床的には、ビタミンDサプリメントを1,000IU/日の用量で投与すると、血中25ヒドロキシビタミンD値が10ng/ml増加する、という報告もあります。
マルチビタミンのビタミンDはRDAのための設定ですので、別途、ビタミンDサプリメントの利用となります