抗菌剤の単独投与では27%しか効果がなかったのにまず、驚いた。抗菌剤だけではなく、ノコギリヤシを併用する方が効果的なのだ。

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http://www.dhcblog.com/kamohara/archive/1112

今月の感染症治療の専門ジャーナルに,ノコギリヤシ等を含むハーブ複合サプリメントによる慢性細菌性前立腺炎への補完療法としての効果を示した臨床研究が,イタリアのグループから報告されていました。
(Int J Antimicrob Agents. 2009 Jun;33(6):549-53.)

ノコギリヤシは,前立腺肥大症に伴う症状の改善に対して用いられるハーブです。
今回の研究では,前立腺炎で抗生物質(プルリフロキサシン)を服用中の患者を対象に,ノコギリヤシ/セイヨウイラクサ,ケルセチン/クルクミンの複合サプリメントが投与されています。

具体的には,慢性細菌性前立腺炎患者284名からクラス2の前立腺炎患者143名を対象に,まず,被験者全員に対して1日あたり600mgのプルリフロキサシン (prulifloxacin;フルオロキノロン系抗菌薬)が14日間投与されました。

次に被験者を2群に分け,抗菌薬に前述のサプリメント複合剤を併用する群(n=106)と,抗菌薬単独投与群(n=37)とで,6ヶ月間のフォローアップが行われています。
1ヵ月後の時点で,慢性前立腺炎の症状が改善された(症状が消失した)被験者の割合は,抗菌薬とサプリメントの併用群では89.6%であったのに対して,抗菌薬単独投与群では27%に過ぎませんでした。(P < 0.0001)

6ヵ月後の時点では,併用群では再発率がゼロであったのに対して,単独投与群では2名の患者が再発しています。QOLに関連した指標においても,抗菌剤単独投与群に比べて,ハーブサプリメント併用群では有意な改善が認められました。

以上のデータから,ノコギリヤシ/セイヨウイラクサ,ケルセチン/クルクミンの複合サプリメントは,慢性細菌性前立腺炎に対する抗菌剤治療の補完療法として有用であることが示唆されます。